韓国…セクハラ・パワハラ大国、何でもちゃぶ台返しの「甲乙問題」とは?

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アルバイトの90%以上がパワハラを経験

 為政者のセクハラもナッツ姫や水かけ姫のオラオラ不祥事も、歴代大統領が前任者の約束を反故にするのも、みんな「甲乙(カプチル)問題」に関連していた。韓国の憲法上、立法権は国会、司法権は法院に属すが、大統領は行政権、立法権、司法権に軍事権を加えた4権の長として君臨する。組織のトップが絶対権限を持つのは政府や自治体に限ったことではなく、民間にも“社長第一主義”が蔓延している。

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 朴元淳(パク・ウォンスン)前ソウル市長は、女性秘書によるセクハラ暴露がきっかけで自ら死を選んだとされる。為政者のセクハラが問題になったのは、近年珍しいことではない。たとえば今年4月、釜山市長がセクハラ疑惑で辞任、昨年9月には忠清南道の安熙正(アン・ヒジョン)前知事が、元秘書への性的暴行の罪で懲役3年6カ月の実刑判決を受けた。いずれも与党「共に民主党」の重鎮で、彼らを訴えたセクハラ被害者はみな職を失っている。

 少し古いが、2013年にソウル新聞が行った調査によると、アルバイトの90%以上がパワハラを受けた経験を持っていた。雇用主によるものが最も多く、客、上司と続いた。ソウル新聞は「甲乙問題」として取り上げた。

 「甲乙」は、異常なまでに上下関係を重視する慣習に起因する。財閥など企業オーナーの一族は「甲」として絶対的な権限を持つ。中間管理者はオーナー家の前では「乙」だが、自分より肩書きが低い社員の前では「甲」となって権限を振りかざす。社長第一主義の韓国では、オーナー家や社長は絶対で、逆らうことは許されず、まずは社長の言動に、次に上司の言動に気を配り、細心の注意を払わなければならない。

 韓国では企業や商店で、取引先や利用客に横柄な態度を取る例は少なくないが、社員や店員にとって取引先や客は二の次、三の次。客を社長や上司から受けた暴言のはけ口にすることすら珍しくない。

 社員は社長や上司に対して責任は負うが、客や会社に対してはその必要はない。

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