「石原軍団」解散の裏側 渡哲也は存続に反対、今後は版権管理が中心に

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“弔い上げ”を機に

 先述した通り、裕次郎の命日は7月17日である。

「昨年、横浜の總持寺で裕次郎さんの三十三回忌の法要が営まれた際に、まき子さんから『今年をもって弔い上げとします』との話がありました。そのため今年の法要はなく、まき子さんから関係者に対して『今年の命日は成城の家に集まらないで下さい』との手紙が送付されたそうです」(同)

 昨年、「弔い上げ」となったことも解散が決定した要因の一つに違いない。また、石原プロの関連会社の登記簿謄本を確認しても、解散に向けた準備が着々と進んでいることが分かる。

関連会社を清算

 例えば、音楽関係の版権などを管理する「石原音楽出版社」の登記簿の目的欄には、この7月3日付で新たに「石原裕次郎の遺品の維持管理、展示及び賃貸」という一文が加わり、登記されている。「石原インターナショナル」の登記簿を見ると、同じくこの7月3日付で「清算結了」したことが分かる。

「石原プロにはいくつかの関連会社がありますが、そのほとんどは稼いでいた頃に税金対策のために作られたもの。『石原インターナショナル』は映画を海外に輸出するために作られた会社ですが、実質的にはほとんど業務はない。石原プロ解散が決まったので『石原インターナショナル』を清算したというのは納得できる話です」(先の石原家のことを知る芸能界関係者)

 裕次郎の存命中に設立された「アイ・ピー・エフ」という関連会社は、先の金宇氏の著作によれば、映画製作で多額の負債を抱えることになった石原プロ「再生」のために作られたという。石原プロは裕次郎が「太陽にほえろ!」などのテレビドラマに出演するようになったこともあって復活を果たす。そして渡哲也をはじめ、舘ひろしや神田正輝など主力俳優の活躍等で順風満帆に運営されるのだ。件の「アイ・ピー・エフ」社は人気ドラマシリーズ「西部警察」の制作にも関わった。なお、映画の失敗で石原プロが苦境に陥った時、まだ日活の所属だった渡哲也が全財産の180万円を「使って下さい」と裕次郎に差し出したのは、知る人ぞ知るエピソードである。そうした経緯もあり、裕次郎に惚れ込んでいた渡は後に石原プロに所属することになるのだ。そんな歴史と由緒ある「アイ・ピー・エフ」社が昨年、石原プロに合併されたことも、今回の「解散」に繋がる布石だったに違いない。

 昨年には「石原ミュージック」という会社の清算も行われており、関連会社で現在も残っているのは石原プロと先の石原音楽出版のみ。

 前出の石原家のことを知る芸能界関係者によると、

「石原プロを解散した後は、石原音楽出版に一本化して、版権収入やカラオケの歌唱印税の管理などをすることになるでしょう」

 この関係者の証言通り、版権管理は「石原音楽出版」に、遺品管理業務は7月3日に設立された一般社団法人に移管されることが17日に明らかにされた。

 事務所の歴史には終止符が打たれたが、石原軍団が残した豪快な伝説は永遠に語り継がれるだろう。

週刊新潮 2020年7月23日号掲載

特集「『裕次郎』大いなる遺産! 解散『石原プロ』25億円の行方に『まき子未亡人』溺愛の甥っ子」より

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