文在寅は反日? 親日? 無関心?…実に曖昧な対日外交

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八方美人と八方塞がりは紙一重

 8月14日には、統治時代の徴兵被害者遺族83人が、憲法裁判所に韓国政府を相手取って訴えを起こしてもいる。

 1965年の日韓基本条約締結時、韓国政府は日本への要求に被害者の補償金を含めたが、国民には支払っていない。遺族らは韓国政府が日本から受け取った無償有償5億ドルのなかから補償金を払うことなく、経済協力資金として使ったのは横領に当たる行為で、違憲だという申し立てを行った。

 文在寅大統領の退陣を要求した保守層は、朴槿恵前政権の告げ口外交や李明博元大統領の竹島上陸を支持するなど、保守政権下では反日の旗を振ってきた。

 個々の日本人にも謝罪を要求してきたが、日本製品不買運動には不参加を表明し、日本人に文政権批判の協力を求めるなど、文在寅政権と対立する日本や日本人に歩み寄る。

 大統領の退陣要求集会には小規模事業者も参加した。日韓の商取引は確かに大企業が多い。しかし、日本製品を専門に販売する中小企業や観光会社など、日本と関わるビジネスで生計を立てている小規模事業者も少なくない。彼らもまた有権者である。

 韓国の反日思想家と日本好きはいずれも少数で、大多数は日本好きでも日本嫌いでもない。支持率を気にする文在寅大統領は、世論を見ながら行ったり来たりを繰り返すが、八方美人と八方塞がりは紙一重だ。

佐々木和義
広告プランナー兼ライター。商業写真・映像制作会社を経て広告会社に転職し、プランナー兼コピーライターとなる。韓国に進出する食品会社の立上げを請け負い、2009年に渡韓。日本企業のアイデンティティや日本文化を正しく伝える必要性を感じ、2012年、日系専門広告制作会社を設立し、現在に至る。日系企業の韓国ビジネスをサポートする傍ら日本人の視点でソウル市に改善提案を行っている。韓国ソウル市在住。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年7月21日掲載

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