新型コロナ第2波対策の決め手 死者数抑制に有効な治療薬とは?
7月16日の新型コロナウイルス感染者数は全国で600人を超え、5月末に緊急事態宣言解除以降の最多数を更新した。経済活動を正常化する中で、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えることの難しさが浮き彫りになっているが、この難局を乗り切るためにはどうすればよいのだろうか。
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新型ウイルスの第1波対策は、ウイルスの病原性が不明である状況下で、数理モデルで感染拡大を予測する理論疫学や感染制御学の専門家が中心となって立案されてきた。政府のクラスター対策班は、「感染者数の抑制」を目標に掲げ、スーパースプレッダーの存在を明らかにするとともに、「三密」対策を提唱するなど多大な貢献をしてきた。
しかし、新型コロナウイルスのパンデミックから4カ月が経過した現在、ウイルスに関する情報も国内外で蓄積されており、戦略目標を「検査・隔離による感染者数の抑制」から「治療薬の投与による死者数の抑制」へと転換すべき時期に来ていると筆者は考えている。
参考になるのは季節性インフルエンザである。日本におけるインフルエンザ感染者数は年間約1000万人である。1日当たりの感染者数は約3万人であり、新型コロナウイルスの感染者数より2桁多い。2018年から2019年にかけての死者数は約3300人に上っている。しかし私たちが通常の生活を送ってこられたのは「インフルエンザに感染しても治療薬(抗ウイルス薬)があるから安心だ」という前提があったからである。
インフルエンザにはタミフルなど体内でウイルスが増殖することを防ぐ抗ウイルス薬が複数存在し、一般の医療現場で処方されている。一方、新型コロナウイルスについては、米国で開発されたレムデシビルや日本で開発されたアビガンなどが存在しているが、抗ウイルス薬の効果についての評価は未確定のままである。
新型コロナウイルス感染者のほとんどは無症状又は軽症であるが、感染者の約5%が致死的な急性呼吸器不全症候群(ARDS)となると言われている。ARDSは一般的には「サイレント肺炎」と呼ばれている。肺に限らず全身の症状が急激に悪化することから、新型コロナウイルスは非常に恐い病気であるとのイメージの元となっているが、その原因は既に明らかになっている。
「新型コロナウイルス感染症はサイトカインストーム症候群である」
このように主張するのは平野俊夫量子科学技術研究開発機構理事長(前大阪大学総長)である。サイトカインとは細胞から分泌される生理活性タンパク質の総称である。サイトカインは感染症への防御を担っているが、過剰に分泌されると多臓器不全などの原因となる(サイトカインストーム)。
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