韓国女史のWTO事務局長誕生なら…“日本海”は“東海”になるという悪夢の再来

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韓国から事務局長が輩出したら…潘国連トップの悪夢

 WTO事務局長は、特定国家に偏らない中立が求められ、本人も「WTO事務局長は特定所属・国家を代弁する席ではない」と中立な立場を表明する。

 国際機関の韓国人代表といえば、2007年から2期10年、国連事務総長を務めた潘基文(パン・ギムン)氏が知られている。潘氏は「国連の日」恒例行事である事務総長主催コンサートでソウル・フィルハーモニー管弦楽団を招聘した。ここまでは良い。

 しかし、このコンサートで、韓国国連代表部が日本海を東海と記載したパンフレットを配布。事務総長主催行事で、特定の国による自国のPRは前代未聞だったが、国連側は制止や回収を行わなかった。

 またニューヨークで、伊藤博文を暗殺した安重根を題材とするミュージカル公演が行われたときにも各国国連大使を招待するなど、中立性を疑われる行動をたびたび行った。

 潘基文氏は62歳で国連事務総長に就任した。官僚出身とはいえ、すでに定年をすぎた氏が韓国政府の方針に従う義務はない。任期を終えた後、宮仕えに戻る可能性はほぼないからだが、それでも氏は韓国を代弁した。大統領職を渇望していたからだ。氏を推した朴槿恵前大統領の失脚で立候補を断念したが。

 かたや兪明希氏は現役の官僚であり、定年前に事務局長の任期を終える。WTOの実績が任期後の官僚ポストを左右する年齢だ。
 政府の意向で日本をWTOに提訴し、政府の意向でWTOへの提訴を一旦取り下げ、日本企業に投資の拡大を依頼した氏が、韓国政府の意向に従うだろうことは明白だ。

不買運動の真っ只中に日本企業に投資拡大を呼びかける神経

 8人が立候補して混迷が予測される事務局長選挙のなか、ナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ氏が頭半分リードしている。

 氏は世界銀行に25年勤務して専務理事を務めた後、ナイジェリアの財務相として経済改革を主導した。その手腕は、途上国はもとより、先進国からも高く評価されており、いまはワクチンと予防接種のための世界同盟GAVIアライアンス理事長だ。

 次のWTO事務局長は、WTO改革と合わせて、コロナ・パンデミックが自由貿易に与えるマイナスの影響の排除が期待されている。Gaviワクチンアライアンスの理事長としてコロナに立ち向かう氏は、大国と対等に渡り合ってきた経験からも国際的な知名度は韓国代表の比ではない。就任すればWTO初のアフリカ出身、しかもWTO初の女性事務局長ということになる。

 ケニアのアミナ・モハメド氏もアフリカ人女性候補で、ケニアに多額の投資をしてきた中国が支援に回ると見られている。加盟国が求めるWTO改革は、米国と中国の争いによる機能不全がきっかけだ。もし、中国が支持を表明したら米国が反対に回る可能性は排除できない。

 逆に米国が支援する特定候補は中国が拒絶するだろう。

 いま、米国と中国、そして日本と韓国の経済葛藤が大きく、さらに米国と欧州(EU)の葛藤も取り沙汰されている。
 いずれかの国が推す候補は、対立する国が反対する可能性が大きく、従って、米中欧と日本のいずれも反対しない候補者が有利に働くだろう。

 日本と米国は候補者を出さず、EUも統一候補の擁立を見送った。全会一致で決まる選挙で、対立する国が反対するだろうことはわかりきっているからだ。
 
 どこかの国の女史は、不買運動の真っ只中に日本企業に投資拡大を呼びかける神経があるから立候補できたのだろう。

佐々木和義
広告プランナー兼ライター。商業写真・映像制作会社を経て広告会社に転職し、プランナー兼コピーライターとなる。韓国に進出する食品会社の立上げを請け負い、2009年に渡韓。日本企業のアイデンティティや日本文化を正しく伝える必要性を感じ、2012年、日系専門広告制作会社を設立し、現在に至る。日系企業の韓国ビジネスをサポートする傍ら日本人の視点でソウル市に改善提案を行っている。韓国ソウル市在住。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年7月18日掲載

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