政府が目指す「男性の育休」義務化 女性管理職3割を実現するため?

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〈通常であれば10年かかる変革を一気に進め得る可能性がある。この数年の取組が日本の未来を左右するだろう〉

 政府の有識者懇談会「選択する未来2・0」の中間報告書(7月1日付)には、こんな勇ましい一文が載っている。同懇談会は、少子化対策などを話し合うため、6年前に経済財政諮問会議の下に置かれた組織である「選択する未来」が前身。これに「2・0」を付け足して今年3月に発足したものだ。で、報告書いわく、コロナ禍でテレワークが増えたのを機に、

〈象徴的な取組として男性本人に対し、育児休業の取得の義務化や強力なインセンティブを与え、男性が全員取得する環境を目指すことも提案したい〉

 まるで男が育休を取っていないために少子化が進んでいるような内容だが、そんなことで出生率が上がるものなのだろうか。

 評論家の大宅映子氏が言う。

「政府は有識者を集めて“義務化”を掲げたり数値目標などを設定したがりますが、私たち日本人にそんなことが必要なのでしょうか。コロナ対策だって強制ではなく要請だけで、文字通り自粛できたのです。義務を求めるより、男性に子育ての喜びを理解してもらうほうが大切だと思います」

 そういえば、安倍政権は「女性活躍」の目玉として掲げていた「女性管理職3割」の目標が無理だと分かって10年先延ばしを決めたばかり。男の育休義務化の根底にも「女性活躍」の環境作りがあるのだろうが、果たして全ての女性がそれを望んでいるのか。そもそも「3割」という数字ありきではなく、人物本位・能力本位で管理職も選ばれるべきだろう。

週刊新潮 2020年7月16日号掲載

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