藤井聡太七段、最年少タイトル獲得…「将棋と囲碁」学力アップの軍配は?「つるの剛士」ら語る
「将棋」と「囲碁」子どもにやらせるならどっち?(1)
将棋の最年少棋士・藤井聡太七段(17)が従来の記録(17歳11カ月)を30年ぶりに更新、将棋界初の「17歳タイトルホルダー」となった。幼い頃にこの道へ入った精進した結果だが、七大タイトルなど多くの最年少記録を持ち、2018年に国民栄誉賞を受けた囲碁の井山裕太九段(31)もまた同じ。将棋か囲碁か、子どもにやらせるならどっち? 棋界を愛する17人による徹底ガイドをお届けする。
(「週刊新潮」2018年2月22日号に掲載された記事を再編集したものです。肩書や年齢は当時のものを使用しています)
速報羽生結弦との「105日離婚」から1年 元妻・末延麻裕子さんが胸中を告白 「大きな心を持って進んでいきたい」
将棋と囲碁、各々の世界で史上初の栄誉を授かった2人に憧れて、各地の将棋教室や碁会所が盛況と聞く。
だが、同じボードゲームながら似て非なる両者を詳しく知る人は少ないだろう。2017年版「レジャー白書」によれば、将棋愛好者の約530万人に対し囲碁は約200万人と劣勢だが、
「囲碁は、人類が作り出した最も面白いゲームだと思っています」
と語るのは俳優の辰巳琢郎氏(59)だ。プロ棋士の総本山・日本棋院で評議員を務める彼も、小中学時代は将棋派だったと振り返る。
「けっこう将棋は強かったのですが、そのうち映画だったりお芝居にハマっていった。京都大学で学生演劇に夢中だった頃には、マージャンに明け暮れる日々を過ごしてしまい……」
そんな彼が囲碁と出会ったのは今から20年前のこと。NHKの番組で司会をしたのがきっかけという。
「若い3人の女性棋士に習う、というか鍛えられる企画でした。囲碁は難しそうに思われがちですが、ルールはすごく単純で入りやすい。基本的には白い石と黒い石を交互に打ち合うだけ。簡単に言えば陣取りゲームです。お互い石を打ってたくさん自分の陣地を広げていけば勝つ。いたってシンプルなボードゲームなんです」
プロが使う碁盤は縦横19本の線がある19路盤だ。マス目を構成する線の交点(361カ所)であれば、基本的にはどこでも自由に石を置け、将棋のように駒の動きを最初に覚えなくてもいい。対する将棋は9×9マスの81マスで、終局までの手数は110手ぐらい。囲碁はその倍の250手から300手かかる。手軽さでは各々、甲乙つけ難いのだが、
「“碁盤は宇宙”と言われるほど、どこへ打ってもよいので最終局面まで無限の可能性があるのが魅力です。何が一番よい手なのかすぐには分からないところに面白さがある。将棋は最終的に王将を取ったら勝ちですよね。たとえ自分の味方がみんな死んでも相手の王さえ殺せば勝利となり、戦争的な側面がある。もちろん、囲碁も勝敗は決まりますが、将棋のように『ゼロか百か』ではありません。相手を殺せば勝ちではなく、お互い取った交点(目)の数で勝敗が決まります。先手後手で6目半のハンデをつけるのが普通なので、半目差など、ギリギリの結果が生まれることもあるのです」
とにかく「王」を仕留めようと最後まで死力を尽くす将棋と違い、お互いに折り合いをつけながら勝負を続ける。その駆け引きにこそ奥深さがあるという。
[1/4ページ]