武漢からの帰国者受け入れ「ホテル三日月」が再々スタート

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 玄関前に掲げられたのは感染対策の注意書き。来客を迎えるスタッフは、5カ月前には見られなかった笑顔である。ここは、千葉県の勝浦ホテル三日月。武漢からの帰国者191人を受け入れていたあのホテルが、7月3日に“本格オープン”したのだ。2度の休業期間を経て、ホテルが取ったコロナ対策とは――。

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 ホテル三日月がコロナウイルスの発生源・武漢からの帰国者を急遽、受け入れたのは今年1月29日。国民のためにひと肌脱いだと讃えられる一方、地元からは不安の声も相次いで上がったが、今となってはそれもずいぶん昔のことのよう。

 その後、ホテルは帰国者退去後の消毒作業と緊急事態宣言により、2度にわたって休業することに。しかしその経験も無駄ではなかった。サーモグラフィーの導入や、当初はあまり知られていなかったアルコールスプレーの設置など、独自に“三日月STANDARD”なるコロナ対策を考案。営業再開の準備を着々と進めてきたという。

「帰国者を受け入れた2週間、近くにある亀田総合病院の感染症の専門医の方に常駐していただきました。そこでアルコール消毒の大切さなどさまざまなアドバイスをいただき、ガイドラインを作成したのです」

 再々オープン初日の来客数は約100人。目下、第2波の襲来に警戒する声も多いことを考えるとまずまずといったところか。ホテルを訪れた夫婦は、

「ゴルフをしに来ました。三日月には帰国者を受け入れた経験があるので安全かなと。ホームページを見たらしっかり対策をしていて信頼できます」

 と笑顔だが、それでも客足は以前には程遠いという。

「本来はこれからが繁忙期。今年はコロナで、しかも学校の夏休みが短縮されると聞いていますが、準備はしっかりしてきました」(前出の担当者)

 お馴染みのCMソングのような“ゆったり、たっぷり、の~んびり”とはやや違った騒々しい雰囲気もあるけれど、これがコロナ時代の“新しい宿泊様式”なのである。

週刊新潮 2020年7月16日号掲載

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