Jリーグ、超厳戒態勢の有観客試合でサポーターの反応はいつもとどこが違ったか

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応援は“一方通行”

 これは個人的な印象だが、大宮がJリーグに加盟したばかりの頃だった。ゴール裏は若いサポーターが占めていた半面、メインスタンドは年配のファンが多く、時には選手に厳しい声が飛ぶこともあったと記憶している。

 まだスタジアムは「大宮(公園)サッカー場」と言われた時代だったが、日本初のサッカー専用球技場で、1964年の東京五輪のサッカー会場としても使われた歴史あるスタジアムである。

 さらに埼玉県は、かつては静岡県、広島県と並んで「サッカー御三家」と言われたほどサッカーの盛んな地域だ。

 そんな土壌がオールドファンをメインスタンドに足を運ばせたのかもしれない。

 ただし、違和感を覚えたのも確かで、その理由はすぐに理解できた。違和感とは、東京Vがチャンスを迎えてもスタンドは一向に盛り上がらないことだった。それも当然で、まだアウェー・サポーターの入場は禁止されていたからに他ならない。東京Vの攻撃時は固唾を飲んで見守り、跳ね返すと拍手が起こる。

 応援が一方通行であることに気づかされた、「超厳戒態勢時」の有観客試合だった。

 ちなみに試合後のファンの声としては、「大声を出すことやチャント(応援歌)を歌うことは禁止されてたけど、やっぱりライブはいい」という声が圧倒的に多く、次のホームゲームにも「行きたい」というリピーターが多かった。なかには「声を出さずにジャンプしていたら、係員に制止された」と不満を漏らす若いサポーターもいた。

 そして翌日の横浜FM対FC東京戦では、ファン・サポーターの違う一面を見ることができた。

 試合は前日同様、ホームの横浜FMが前半4分にFW遠藤渓太のゴールで先制した。しかしFC東京は前半17分にディエゴ・オリヴェイラがPKから同点に追いつくと、前半アディショナルタイムにはFKをレアンドロが直接決めて逆転に成功。さらに後半開始早々の1分にはGK林彰洋のロングキックにFW永井謙佑が右サイドを抜け出し、彼のクロスからレアンドロがボレーを突き刺す鮮やかなカウンターから勝負を決めた。

 そして横浜FMサポーターである。チームが攻め込むたびにゴール裏(アウェーゴール裏は閉鎖)とメイン、バックの各スタンドから拍手がわき起こるのは当然として、前半9分にFC東京FWの田川亨介が負傷したものの、立ち上がってプレーを続行すると自然に拍手がわき起こった。

 さらに前半17分、またも田川が負傷し(このプレーでPKを与えてしまう)、担架に乗って退場する際にも、ゴール裏の横浜FMサポーターからは盛大な拍手が送られた。

 さすがに後半開始早々3点目を許すと、スタジアムは一瞬シーンとなる。しかし、すぐに気を取り直して好プレーには拍手を送る。さらに後半10分過ぎから横浜FMが一方的に攻め立てると、本来は禁止されているアップテンポの“手拍子”も始まった。

 試合は1-3とリードされたため、後半44分過ぎにはメインスタンドのファンが出口へと向かい始めた。19時30分と試合開始時間がいつもより遅いこと。さらに雨も降り出して来たため仕方ないだろう。それでも入場者の上限に近い4769人のファン・サポーターが集まった。

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