新型コロナで露呈したタワマンの弱点 真っ先に暴落するのは武蔵小杉か
タワマンは“密”
問題は遮音性だけではない。
「高層のタワマンは1棟で500戸ほどありますから、1戸3人として1500人が住んでいることになります。そのため、エレベーターはかなり混みあいます。まさに“密”の状態ですね」(同)
タワマンには、スポーツジムやキッズルーム、パーティルームなどの共用設備があるが、そこも“密”になる可能性が高い。“憧れのタワーマンション”が、コロナには致命的な弱点であるのが暴かれたことになる。
「武蔵小杉のタワマンは、坪単価400万円近くします。それは山手線内の文京区のマンションが買える価格水準と同じです。明らかにバブル価格です。湾岸のタワマンや晴海フラッグも同様です。駅から徒歩20分と不便なのに、都心並みの価格になっています。晴海フラッグは、本来なら坪単価250万円くらいですが、300万円以上で売り出しています」(同)
武蔵小杉や湾岸のタワマンを買っているのはニューカマーという。
「世帯年収が1500万円以上ある共働きのカップルです。荒漠たる埋め立て地に林立する湾岸のタワマンや低地にある武蔵小杉にそそり立つタワマンに、近未来的な魅力を感じたのでしょう。東京に代々住んでいる富裕層は、武蔵小杉や湾岸のタワマンには見向きもしません」(同)
新型コロナの影響を最も受けるのは、一部のタワマンと晴海フラッグだと予想する。
「これまでタワマンは、本来の実力以上に評価されてきました。それがコロナで思わぬ弱点が露呈して、価格は暴落するでしょう。まさにバブルの崩壊です。中でも、昨年10月の台風で2棟に浸水被害が出てすでに価格が下がりつつある武蔵小杉のタワマンと湾岸エリアのタワマンは、真っ先に暴落する可能性があります」(同)
来年開催予定の東京五輪は、コロナ感染拡大がとまらない現状では、中止になる可能性もある。
「IOC(国際オリンピック委員会)が東京五輪に関して開催か中止かを決めるのは10月と言われています。新型コロナの現状を見れば、10月までに沈静化するとはとても思えません。私は、中止の可能性がきわめて高いとみています。五輪の中止が決まると、その衝撃は凄まじいものがありますよ。特に、選手村になるはずの晴海フラッグは、五輪が中止となると、最大のセールスポイントがなくなってしまいます」(同)
湾岸や武蔵小杉のタワマンに代わって、現在、東京郊外や神奈川、千葉、埼玉の中古の戸建てが人気という。
「IT企業を中心にテレワークが広まり、週に1回、中には月に1回の通勤でもOKという会社も出てきており、遠距離通勤も苦にならなくなってきました。東京だったら町田、八王子。神奈川は茅ケ崎、辻堂、海老名。埼玉はさいたま市、千葉は木更津、君津などの中古戸建がどんどん売れています。安い物件であれば、1500万円くらいからあります。新型コロナの影響でタワマンのように狭いマンションは敬遠され、密にならない郊外の広い戸建が選ばれる時代になってくるでしょう」(同)
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