首位陥落の巨人、パーラ“守備妨害”の判定に異議あり【柴田勲のセブンアイズ】
巨人が首位から陥落した。13日現在、雨天中止をはさんで4連敗。いまは試合の流れが悪い。エラーやミスが出て相手に付け込まれている。みんなでカバーできるかどうかだが、相手の得点に結びつき、最終的には接戦を落とす致命傷になっている。
12日のヤクルト戦(ほっともっとフィールド神戸)、1回表の2死一塁、村上宗隆の飛球を中堅・丸佳浩と左翼・亀井善行がお見合いし、2人の間にポトリと落ちて先制点を与えた。
午後6時のプレーボール直後、私も経験があるが、薄暮で打球は見にくい。でも、このミスで先発・桜井俊貴の足を引っ張る格好になった。どうしても負けている試合ではミスが目立ってしまう。
だけど、6回のヘラルド・パーラの守備妨害の判定には首を傾げる。1点を追って1死一、 三塁。炭谷銀仁朗の遊ゴロで、一塁走者のパーラが二塁にスライディングした。この時、ベースカバーに入った山田哲人と接触、山田哲は転倒して一塁へ送球できなかった。その間に三塁走者・亀井が同点の本塁を踏んだ。
ヤクルト・高津臣吾監督はリクエストして審判団がリプレー検証した結果、併殺崩しを狙った危険なスライディングとして守備妨害が適用されて打者走者・炭谷もアウト。併殺となり得点は取り消された。
パーラはベースに向かってスライディングしていた。故意に野手に向かっておらず、走路もそれていない。ましてや足を上げてもいなかった。
近くから行って勢いをつけてベースを超えている。これが審判団に危険と判断されたようだが、私から言わせれば、ごく普通のスライディングだ。
近くからであろうが遠くからであろうが、走者はベースの前でスピードを緩めない。パーラは滑り込んだ際に少し勢いがついてはいたものの二塁ベース上にとどまっていた。山田哲が避けるべきプレーだった。
走塁コーチの立場からすれば、こういう走塁をしてほしいと思うものだ。
流れが悪い時はこういうもので、結局この判定が大きく響き1点差で試合を落とした。
4連敗中だが、2ケタ安打はなく、また得点も5点以上はない。すべて先制点を奪われており、最初から劣勢に立たされている。
開幕からチームを引っ張ってきた坂本勇人が左わき腹の違和感も影響もあってか、精彩を欠いている。疲れがたまっているのだろう。岡本和真にしてもボール球を振る傾向が出始めた。丸が開幕直後の不振から立ち直ってきたのは明るい材料だが、いまの巨人打線は甘い球を簡単に見送る傾向がある。
ヒットにできる一番確率の高いボールはワンストライク目の甘いボールだ。これ以外はグッと確率が下がる。
巨人の打者を見ていると、このワンストライク目を見逃しては難しいボールに手を出しているし、つり球を振っている。打席でなにか考えているのか、迷っているのか。我々の時代とは違って制約はそれほどないはずだ。ワンストライク目を狙うのは打者の鉄則である。このワンストライク目を打てる、打てないは打者の技量であり、もちろん準備も必要になる。だが、困った時は基本に戻ることが大事だ。
ヤクルト戦を見ている限り、山田哲、青木宣親、山崎晃大朗といった打者たちはワンストライク目の甘い球をものにしていた。
投手も同じだ。ストライクを先行させて打者を追い込む。そのために必要なのは制球力であり、生命線はアウトコースの低めだ。いくら150キロ、155キロの真っすぐを投げることができても、ちょっとでも甘く入れば持っていかれる。
抑え役だったルビー・デラロサが左わき腹の肉離れで離脱し、原辰徳監督は澤村拓一を代役に指名した。
確かに球威があるし、荒れ球で相手打者は狙い球を絞れない。こういう面があるが、いかんせん、制球力に難がある。
今年で10年目。2016年には最多セーブをマークしているが、近年はいまひとつだ。いろいろ考えてはいるのだろうが、何を考えているのか伝わってこない。
マウンドに上がっていきなり四死球では原監督、宮本和知投手コーチは気が気でないはずだ。澤村こそ、ストライク先行を心がけるとともに、アウトコース低めへの制球を徹底的に磨くべきだ。
早い話、ブルペンではアウトコース低めだけに投げ込んでもいい。実績はある。自信を持ってほしい。
困った時は、「基本に戻れ」だ。
菅野智之にしても変化球の割合が多くなっている。威力のある真っすぐが来てこそ、変化球が生きる。これも基本だろう。
4連敗はしたけど、貯金はある。1シーズン、山あり谷ありだ。14日からは鬼門のマツダスタジアムだが、連敗を吹き飛ばす戦いを期待している。