ツイッターで「ポテサラ」論争がぼっ発 簡単に作れるものか、手間がかかるのか――
ポテサラは不思議な料理
北海道はジャガイモの生産・収穫量が日本一であることは、よく知られている。そこで北海道のJAグループであるホクレンの公式サイトを見てみると、レシピが紹介されていた。
調理時間20分、カロリー約228キロカロリーというポテサラの作り方を転載させていただこう。
【1】じゃがいもは4つに切って電子レンジで6~7分加熱し、粗くつぶす。
【2】玉ねぎは薄切り、きゅうりは小口切りにして塩小さじ1/2をふってしんなりさせ、水洗いして絞る。
【3】1、2とツナをマヨネーズであえて器に盛り、くし形切りのゆで卵を添える。
ハムではなくツナが登場し、驚いた方もおられるのではないだろうか。だが、この“多様性”こそが、ポテサラの調理を面倒と感じさせる原因だという。
著書『コの字酒場はワンダーランド――呑めば極楽 語れば天国』(六耀社)や、コミック『今夜はコの字で』(作画・土山しげる:集英社インターナショナル)の原作で知られる加藤ジャンプ氏は、「ポテサラ探求家」の肩書もある。
加藤氏にツイッターでの論争について訊くと、「ポテトサラダは間違いなく、作るのが面倒な料理です」と断言する。
「そもそもポテトサラダは、不思議な料理です。調べた限りはドイツ発祥と言われていますが、本当の“原産地”は不明です。ヨーロッパでは温かいまま食べることも多く、冷やす代表が日本とアメリカです。欧米のレシピはジャガイモだけと言っても過言ではなく、他の野菜はセロリなどがごく少量使われるだけです。一方の日本はキュウリやニンジンの量も多く、味つけはマヨネーズと米酢など日本の酢が使われます。どう考えても和洋折衷で、魚肉ソーセージを入れたり、醤油をかけたりする人もいます。こうした“隠し味”やら“見えない一手間”が無数にあり、その選択肢の多さが料理人泣かせなのです」
例えば、ポテトサラダに「リンゴを入れるか、入れないか」という問題で意見は真っ二つに分かれる。「茹で卵を入れる派と入れない派」の対立も根深い。
そもそもジャガイモの種類が多い「メークインじゃなきゃダメだ」、「いや、きたあかりが最高」などと一家言ある人は少なくない。おまけにジャガイモの皮を剥くのか、皮つきのまま茹でるかという“流派”の違いもある。
水から茹でる家庭もあれば、沸騰したお湯にジャガイモを入れる家庭もあるだろう。レンジが最もほこほこするという人もいる。酢も米酢ではなくワインビネガー、「いやいや、わが家はレモンです」というこだわりを持つ人も珍しくない。
「一般の家庭でも、これだけのバリエーションがあるのです。プロの料理人が作るポテトサラダとなると、実に多種多彩。『こんなポテサラがあったのか』と驚くことも珍しくありません。実際、ポテサラで居酒屋を選ぶという人も相当な数にのぼります」(同・加藤氏)
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