文在寅大統領、高支持率に強気も…大物政治家にセクハラ告発続出が死角に
「韓国社会が最大の敵対意識を持っている国は日本」という報道
依然、文在寅大統領は47%という安全水域の支持率を誇り、それを元に日本に強気な政策を打ち出してくることが予想される。なにしろ、韓国社会が最大の敵対意識を持っている国は、北朝鮮を凌いで日本だったという報道が中央日報であったばかりだという。もっともここにきて、大物政治家にセクハラ告発が続出し、それが政権の不安定要因にもなりつつある。
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韓国の日本離れは、着実に進んでいるらしい。
康京和外相をテレビで見ているとき、ふと思った。青筋を立てながら激しい口調で日本の入国制限を批判していたからだ。外国での経験が長いのだから、日本に対する皮肉でも交えながら、さらりと批判をすることだってできるだろう。それでも見せるあの形相は、日本の重要度の急落を物語っているに違いない。
文在寅大統領は血相こそ変えてはいないが、「日本とは違う道を行く」と9日に半導体製造会社であるSKハイニックスを訪問した際に発言したばかりだ。これまで日本に依存してきた素材、部品、デバイスの各分野について、国内産業の自立を促そうと心血を注いでいる。世界に名を轟かすサムスン電子を擁する韓国なのだから、十分に技術力はあるはずで、それなのに日韓関係が経済活動を直撃するというのは矛盾しているではないか。韓国は日本離れをもっと早くからするべきだったのだ。韓国人に大学で日本のことを教えている我が身としては、複雑なところもあるが、正直なところ、そう思う。
しかし、こうした日本離れは、もっと大きな文脈のなかで語られている。もはや日本は眼中に置いていないのだ。
「世界をリードする大韓民国の道を開いていく」と文大統領が宣言したのは、就任3周年を迎えて去る5月10日に大統領府で行われた演説だった。その文言を、9日のSKハイニックスでの発言の際に繰り返している。
技術革新が一朝一夕でどれだけできるのか、という疑念はぬぐえないが、文大統領の言葉は自信に満ちている。自信が持てる理由は、大きく2つある。
一つは、韓国のコロナ対策が3月に、WHOテドロス事務局長のお墨付きとなったことである。これを機に、文大統領はK防疫という言葉を連呼した。韓国の防疫体制を世界のモデルにしようという。つまり、韓国が広い分野で世界をリードできると謳っているのだ。
もう一つは、4月15日に行われた総選挙での、与党・共に民主党の歴史的圧勝である、この圧勝は、文政権の政策に対する国民からの大々的な承認を意味する。追い風となったのは、コロナ対策の成功である。政府に対する国民の第一の関心は内政であり、流行第一波を主に大邱とその周辺の慶尚北道に抑え込んだことを国民が評価した。
文在寅政権の支持率は、最新の7月第2週で47%である。4年目第1分期に入った最初の65%から下落が続いているとはいえ、民主化以降の政権のなかでトップを誇っている。参考までに、民主化以降の歴代政権の同時期の支持率を見てみると、最も高いのが李明博政権の43%で、次いで金泳三政権の41%である。そのほかの政権とは大差がついていて、金大中政権と廬武鉉政権ではともに27%である。なお、朴槿恵政権の場合は4年目の第1分期に入って早々に失職しているので、参考にできない。
47%という現在の支持率は、まだまだ安全水域である。そのため、文大統領は、この支持率を支えにして日本に強気な政策を打ち出してくることは十分に考えられる。とくに韓国社会が最大の敵対意識を持っている国は、北朝鮮を凌いで日本だったという報道が中央日報であったばかりだ。それゆえに、産業界における日本離れの促進は、自国の利益と支持率向上に直結する。自国になるべく有利になるよう、日韓関係を動かそうとするだろう。
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