行き過ぎ「外来種バッシング」 コスモスやイネは?生物学者の提言

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人間の思い上がり

 池田氏が続ける。

「各々の生態系における、個別で複雑な事情について知らずに、大人が『外来種=悪』と決めつける姿勢を見せれば、子どもは“特定外来種ならば殺してもいい”と誤解するでしょう。これはもう、命の選別ですよ。何であれ、生物の命は同じように大切。とりわけ子どもに、“殺していい生物とダメな生物がいる”という論理を教えるのは問題です」

 そもそも、池の水を抜くくらいで、生態系がコントロールできると考えること自体が、人間の思い上がりではないのか。

「特に哺乳類と違い、非常に多くの卵を産む魚や虫は、少し獲ったからといって、簡単に減るものではありません。池の水を全部抜いても、少しでも残っていれば、2~3年も経てば元の木阿弥。動植物はモノではないので、ひとつ獲ればひとつ減る、というような単純なものではないのです」

 そして、

「原理主義者は、在来で固有の生態系というものがあり、それが続くことが理想だと思いがちですが、そんなことはありえません。そもそもイネだって、2500年前に来た外来種ですから。生態系はどんどん変わっていくもの。それを理解し、自然に敬意を持った上で、あまりに害が甚大なものについては、ほどほどに対策する、と言うしかない」

「外来種発見!」と、嬉々として叫ぶ子供たち。その目は血走っていないか。

週刊新潮 2020年7月9日号掲載

特集「浅はかな『正義』」より

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