韓国への輸出制限から1年、「文在寅」自画自賛の国産化でもツケは国民に

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財閥は軒並み日本詣で

 それから約1年。文在寅大統領の口をついて出るのは国産化促進を自賛する言葉ばかり。今年6月29日には、「日本が輸出規制を行ってから1年間、韓国は日本の措置に動じることなく正面突破した」としたうえで、「1件の生産支障もなく、素材・部品・装置産業の国産化を操り上げて、核心品目の安定的なサプライチェーンを構築した」と発言した。

 輸出規制から1年経った20年7月2日、康京和(カン・ギョンファ)韓国外交部長官は記者会見で、輸出規制などに関して韓国と日本の間の立場の違いが大きいという認識を示した。特に大法院の強制徴用判決に対する報復で日本政府が行った日本の輸出規制措置が最大の問題だという従来の発言を繰り返している。

 一方、企業はWTOへの提訴をくり繰り返すだけの政府には期待していない。

 韓国青瓦台(大統領府)は輸出規制への対応策を協議するため、19年7月7日と10日に企業トップを招聘したが、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長とロッテの辛東彬会長(当時)は協議の同日、日本を訪れた。現代自動車グループの鄭義宣首席副会長もまた、この協議の1週間後に日本を訪問している。

 韓国政府は1つの部材を国産化すれば解決すると考えているようだが、コトはそう単純ではない。半導体などは複数メーカーの部材を組み合わせて部品を作る。1つ1つの部材は基準をクリアしても、組み合わせたとき、期待通りになるとは限らない。

 当然、最先端の部品ほど高い信頼性が求められる。日本企業には長い時間をかけて培ってきた実績があり、さらに彼らは絶え間ない研究努力を続けているのだ。仮に韓国企業が時間をかけて日本製品をコピーしても、日本企業は、その頃にははるかに遠くを走っている。国産化にこだわれば、サムスンやSKハイニックスは一歩も二歩も古い技術を使い続けることになりかねない。

 輸出規制の影響を最も受けると思われたサムスン電子は、日本の規制が本格化して以降、500以上ある工程を検証し、高品質が求められる核心部品は日本企業の部材を使いながらも、代替可能な工程は国産品に置き換えた。韓国製は日本製品と比べて不良品が多く、生産コストが高まったとみられる。脱日本依存をリーダーが謳ったまではよかったのかもしれないが、そのツケを払わされているのは国民だというのは何とも皮肉な話である。

佐々木和義
広告プランナー兼ライター。商業写真・映像制作会社を経て広告会社に転職し、住宅・不動産広告等のプランナー兼コピーライターを務めた。韓国に進出する食品会社の立上げを請け負い、駐在員として2009年に渡韓。日本企業のアイデンティティや日本文化を正しく伝える必要性を感じ、2012年、日系専門広告制作会社PLUXを設立した。日系企業の韓国ビジネスをサポートする傍ら日本人の視点でソウル市に改善提案を行っている。韓国ソウル市在住。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年7月10日掲載

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