「くまモン」をパクった「韓国のペンス」、人気・ギャラ急上昇でさらにパクリキャラ登場
違いは言葉を話し、自己主張する点
韓国の教育放送EBSが世に送り出し、わずか1年で人気スターの座に昇りつめたアニマルクリエイター「ペンス」に対し、熊本県の人気ゆるキャラ「くまモン」の盗作疑惑が起こっている。くまモンは「熊」を、ペンスは「ペンギン」をコンセプトとしている以外は、大きな目と口など、双方共に酷似している。また、着ぐるみの中に人が入って動くのもくまモンと同じだ。さらにそのパクリキャラも登場して……。
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くまモンは単なるゆるキャラに留まらず、熊本県を宣伝する様々な活動を通じて親しまれており、新概念コンテンツとして大きな人気を得ている。ペンスもまた、各地の地方自治体の広報活動を行っており、その点でも類似している。
ペンスは2019年4月、EBSがYouTubeチャンネル「ジャイアント ペンTV」を開設した際に、初めて紹介された。チャンネル登録者数は8日現在、213万人に達し、視聴回数は2億634万回に上る。
ペンスは南極に住むペンギンの「ペン」と優秀の「秀(韓国語の発音でス)を合わせた名であり、「南極幼稚園」を卒業した10才のペンギンという設定だ。身長210㎝、体重100kgにも達する巨体が魅力。南極から「宇宙的大スター」になる夢を抱いて韓国まで泳いできて、スイスで習ったヨーデルを特技としている。
奇抜なデザインと歯に衣着せぬ物言いと行動で、子供だけでなく幅広い年代から支持されているペンスだが、特に20代、30代の若者世代から絶大な人気を集めており、「職統領(職場で働く者の大統領)という別称を得ている。
人気を証明するかのように、政府関連機関の広報動画への出演はもちろん、地上波の番組にもゲストで出演するなど、縦横無尽の活躍を見せているペンス。キャラクター商品だけでなく、大企業とのコラボ製品も相次いで発表され、広告業界からも熱視線を注がれている存在だ。
うなぎ上りの人気を誇るペンスに対する盗作疑惑とは裏腹に、ペンスを盗作したと疑われる事例も。政府の人事革新処は昨年、ペンスに似た見習社員「平(ピョン)ス」を、そして高陽(コヤン)市はジャイアント・ケンTVを開設し、猫をコンセプトにした「ケンス」を、さらに公営放送KBSは、時事教養番組「歴史ジャーナル その日」に「歴(ヨク)ス」を登場させるなど、2匹目のどじょうどころか、3匹目、4匹目を狙う、節操のなさが際立った。このような事態に対してEBSは、「ペンスの多大な人気により、ペンス制作陣、EBSが許可しない著作権、および肖像権侵害の事例が多い」と、著作権保護を訴えている。
一方でくまモンは、2011年の九州新幹線開業に合わせ展開された「くまもとサプライズ」キャンペーンのマスコットキャラクターとして登場。2011年に行われた第2回ゆるキャラグランプリでは得票数287,315票を集めてランキング1位となり、その名は一躍全国区に。
様々な関連グッズや商品が発売され、その売上額は1500億円に達するとも。これほど広く浸透したのは、日本国内での使用・流通においては熊本県の許可があれば肖像権や著作権使用料が無料だったことも大きいだろう。
熊本の宣伝のためにマラソン、縄跳び、フィギュアスケートなど各種スポーツに挑戦し、イベントで市民と触れ合うなど、もっさりした愛くるしさと相まって人気を博すくまモン同様、ペンスも負けじと幼稚園や小学校を訪問し、八面六臂の活躍を見せる。違いがあるとすれば、ペンスは言葉を喋り、歌い、自己主張する点で、「ペンハ(ペンス、Hi。ペンスの挨拶)など、ペンス語ともいえる流行語まで生みだしている。
とはいえ、ここまで似ていると物議を醸すのは当然で、韓国のネットでは、「ペンスはくまモンのそっくりさん」、「くまモンがいなかったら、ペンスは生まれなかった」、「ペンスはくまモンの亜流」などと指摘する声が支配的だ。
ペンスを企画したEBSのイ・スレナPDは、今年5月の京郷新聞のインタビューでの「ペンスの誕生過程」について、『リアリティのあるユーモアを備え、B級っぽく面白いコンテンツを制作したいと考え、ペンスを抜擢した』との説明に留まり、「盗作」、「パロディ」などの各種疑惑には沈黙を守っている。
今年1月には、韓国の中央省庁のひとつである食品医薬品安全処が発表したキャラクター「食薬(シギャク)えもん」が「ドラえもん」の盗作ではないかと指摘され、日本から盗作疑惑の取材が来るほどの騒動に発展したことがある。食品医薬品安全処は当該キャラクターを削除し、「ドラえもんパロディコンテンツで不快な思いをされた皆様にお詫びします」と謝罪文を掲載したのだった。
今回、ペンスのくまモン盗作疑惑について問い合わせると、EBSサイドは「答えられない」の一点張りだった。