突如解散「コロナ専門家会議」メンバーが語る本音 批判を浴びた“前のめり”姿勢の理由

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 専門家会議、正式には新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が廃止される旨を、担当相である西村康稔経済再生相が唐突に発表したのは、6月24日の夕刻だった。

 たしかに、専門家会議が批判の矢面に立つことは多かった。本誌(「週刊新潮」)もかねてより、この会議のあり方には疑問を投げかけており、たとえば5月21日号には、

〈総理が思考停止になって、経済については白旗を上げる専門家たちに、日本の命運を分ける判断を丸投げするとは、悲劇を通り越して、笑えない喜劇ですらないだろうか〉

 と書いた。多少言葉を補うなら、主に感染症や公衆衛生の専門家で、経済については門外漢の医師や学者たちに、政策決定を委ねる政府はどうかしている、といった意味である。

 つまり専門家への批判の矛先は、本当は自ら決められず、専門家に丸投げして責任回避し続けた政府に向けられるべきものであろう。専門家会議の面々も同じ思いを抱いていたようで、西村大臣が先の発表をしたのと同じ時間に、彼らも会見を開いて訴えていたのだ。

 そこで語られたのは、専門家会議が政策を決めているかのような印象を与えてしまったが、政策に責任を負うのは政府であり、専門家との役割分担を明らかにすべきだ――。概ねそんな提案であった。

 だが、会見の最中に大臣が先の発表をしたのは、不意打ちであったらしく、記者から専門家会議の廃止が発表されたと伝えられると、尾身茂副座長は「えっ、もう1回言って」と当惑を隠さなかった。

「専門家会議の意見はすでに政府に伝えられ、この会議を新型インフルエンザ等対策特別措置法にもとづく新しい分科会に衣替えすることは決まっていた。ただ政府は、政府との軋轢を公表するような会見を専門家会議が開くことを、苦々しく思っていて、政府が常に後手に回っていたとの印象を抱かれないように、先回りして専門家会議の廃止を発表したフシがある」

 そう解説するのは政治部記者で、政権批判とも受けとれる会見を行った専門家たちと「社会的距離」をとろうとする、安倍政権の小狡さも垣間見える。しかし、専門家がすべてを決めるのがナンセンスであるのと同じくらい、専門家を外すのもナンセンスだろう。

 くだんの会見のレジュメに当たる「次なる波に備えた専門家助言組織のあり方について」には、〈「前のめり」になった専門家会議〉という文言もある。批判につながった姿勢だが、それは2月中旬ごろ、〈「迅速に行動し、対策案を政府に伝えないと間に合わないのではないか」との強い危機感が構成員の間で高まってきた〉結果だと、書かれている。だが、政府がリーダーシップを発揮できれば、専門家が前のめりになることもなかったのではないか。

 とまれ、政府は新たな分科会を中心に複数の会議を設置する。その中身はのちに詳しく見るが、その前に届けたいのは、専門家会議構成員の生の声である。

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