コロナで困窮「北朝鮮」で次に起こること 中国進駐、大量の難民が日本海へ
北朝鮮に接する中国東北部では、コロナ患者が増加中で未だに封鎖解除の見込みはたっていない。兵站が絶たれたことで、90年代に飢饉で250万人以上の餓死者を出した「苦難の行軍」の再来が懸念されている。
「カネも油も米も遮断されたら体制維持は不可能です。北は統治資金として年間20億ドルの外貨を必要としていますが、蓄えは底をつきかねない。そこで4月中旬に国債を発行して、6割は国営企業、4割は富裕層に買わせて強制的に国民が持っている外貨を吸い上げようとしていますが、消化率は8%ほどと芳しくありません。11年前にも民間から外貨を吸い上げようとデノミを行い、国内の不満が高まり大反乱が起こる寸前までいった前例がありますからね」(コリア国際研究所所長の朴斗鎮氏)
コロナ禍で先が見えない中、国債は紙屑同然になるのは言うまでもない。富裕層の鬱積はもとより、慢性的に国民の5割が栄養失調という状況で人民の我慢も限界を迎えている。
朝鮮半島問題を取材するジャーナリストの石高健次氏はこうも言う。
「脱北者の話では、中国からの食糧が入ってこないために既に餓死者が出始めているそうです。飢えた人民の中には、公然と金正恩氏や与正氏を批判し始めているとも聞く。そこで米朝の仲介者を望み通りに果たさなかった文在寅大統領を悪者にして、人民の不満の矛先を変える。今回の南北連絡事務所爆破の狙いもそこにあると思います」
いくら外には威勢がよくても与正氏の政治基盤は脆弱だ、と半島情勢に詳しい龍谷大学社会学部の李相哲教授が指摘する。
「連絡事務所を爆破して、さらには文大統領を批判するビラを韓国側に撒くと言っていますが、一時的に鬱憤を晴らせても現状を打破するにはまったく意味のない政治行為です。彼女が致命的なのは軍隊経験がないこと。北の最高指導者はすなわち軍の最高司令官。120万人の軍人が司令官として認めるのはかなり厳しい。仮に正恩氏の後継となっても、結果を出さなければ白頭山の血脈を守り切れるかは甚だ疑問です」
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