韓国で最も「尹美香=挺対協」を知る記者の告白、「6年に亘る我が闘争」

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尹美香=挺対協からのSLAPP

 しかし、それも文在寅(ムン・ジェンイン)政権に交代すると、日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)破棄が論じられ、安倍晋三首相と朴大統領との間で結ばれた日韓慰安婦合意についても、合意に基づき日本が10億円を拠出していた慰安婦財団が解散してしまった。そのような流れの中で、メディアウォッチは慰安婦問題をより積極的に扱うようになる。

 この間、朴教授の裁判は日韓のマスコミで大きな話題となったが、韓国のメディアで朴教授の立場を弁護したのはメディアウォッチだけだったのを思い出す。朴教授の裁判の中で、朴教授を起訴した検事や諮問弁護士が左派政党に所属した経歴がある事実などを報じた。

 朴教授は敢えて所属を問うならば左派であるから、左派が左派を攻撃する皮肉な構造となっている。朴教授が刑事法廷で苦労しているのに比べ、メディアウォッチに対して尹美香=挺対協が起こした訴訟は、2016年11月に検察が「無容疑判定」を出し、我々が一審勝訴した。

 だがこのとき、韓国では大きな政治スキャンダルが起こっていた。朴槿恵大統領弾劾が国会で推進されたのだった。弾劾事件は、東アジア外交安保の側面から見ると、韓国を間に置いた日米同盟と中朝同盟の対決構造の中で、韓国が日米同盟へ舵を切ったことへの反動によるものだ。

 尹美香=挺対協は2017年2月、メディアウォッチに対して民事訴訟を起こす。訴訟の主旨とは……我々が尹美香=挺対協のスタンスを「従北」だと定義して記事を配信したのみならず、金正日(キム・ジョンイル)への弔電や挺対協と朝鮮総連との関係性など、メディアウォッチが記述した記事は全て虚偽であり、名誉を棄損されたというものであった。

 言うまでもなく、SLAPP(恫喝訴訟)に相当する類の訴訟に屈し、自身の報道を否定する不名誉に帰するわけにはいかない。ちょうど17年10月に行われた「朴教授訴訟」の第二審で、朴教授への一審無罪判決を覆し、有罪判決が言い渡されていた。メディアウォッチと尹美香=挺対協裁判の行方にも暗雲が立ち込めてはいたのは確かだ。もっとも、のちに「反日種族主義」の共著者となる李宇衍(イ・ウヨン)博士のサポートを受け、慰安婦と共に聖域化された徴用工問題に関する記事を出し続けた。

 その流れの中で、筆者は韓国における慰安婦のシンボルであった李容洙(イ・ヨンス)さんに関する記事を執筆し、彼女の経歴やその他の情報に曖昧な点が多いことを指摘した。

 尹美香=挺対協との裁判でも尹美香らはもちろん、李容洙さんの証人申請の必要性を力説したが棄却された。李容洙さんが法廷に現れていたなら、慰安婦問題に大きな転機がより早く訪れたかもしれない。

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