北朝鮮「韓国への軍事行動保留」報道の読み方、“金与正軟禁”もある軍クーデター説

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後継者争いから脱落?

 北朝鮮の国営メディアである朝鮮中央通信は6月24日、「朝鮮労働党中央軍事委員会の予備会議が23日に開かれた」と伝えた。金正恩[キム・ジョンウン](36)の健康状態が不安視されている中、予備会議は「テレビ会議形式」で行ったと報じられた。

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 後述するが、北朝鮮は、開城の工業地帯や金剛山の観光地区に、軍部隊を展開する可能性を示唆していた。共に南北融和を象徴する地名だ。

 16日には、開城の南北共同連絡事務所を爆破したことも記憶に新しい。北朝鮮の韓国に対する敵視政策は、どこまでエスカレートするのか、軍事委員会の決定に注目が集まっていた。

 ところが朝鮮中央通信は、軍事委員会の開催ではなく予備会議が行われたと伝えた。おまけに、《対南軍事行動が保留と決まった》と発表したのだ。

 突然“保留”と言われても、何を意味するのか分かりにくい。危機は去ったと安心すべきなのか、依然として緊張状態にあると警戒したほうがいいのか、どちらなのだろうか。

 日本の新聞や通信社は、記事で朝鮮中央通信の報道内容を紹介するだけでなく、北朝鮮側の狙いがどこにあるのか、分析や解説も行った。いくつかをご覧いただこう。

 読売新聞(電子版)が6月24日に報じた「北、軍事行動4計画を保留…米韓への揺さぶりか」は、YAHOO!ニュースのトピックスにも選ばれた(註:全角数字を半角数字にするなど、デイリー新潮の表記法に合わせた、以下同)。

《米韓からの譲歩や国内の引き締めを狙っているとの見方が強い。今回の「保留」も、揺さぶりの一環の可能性がある》

 同じ日に時事通信が報じた「韓国への軍事行動計画保留 正恩氏、緊張抑制図る狙いか―北朝鮮」も読売新聞と類似の分析を記載した。

《正恩氏主導の形で軍事行動計画を保留することで、高まった南北間の緊張を抑制する狙いがあるとみられる。ただ、北朝鮮が計画を実行する余地は残されており、譲歩姿勢を見せることで韓国側を揺さぶる思惑もありそうだ》

 共同通信「金氏、韓国への軍事行動『保留』 宣伝放送用の拡声器撤去の動きも」(6月24日)も同じだった。

《(北朝鮮は)韓国の文在寅政権に揺さぶりをかけて出方を見ようとしている可能性もあり、最終的に計画実行を見送るかどうかは不明だ》

 一方、毎日新聞のニュアンスは、上の3紙とは少し異なる。翌25日の朝刊に掲載された「北朝鮮、軍事行動計画保留 緊張、一時緩和へ 中央軍事委予備会議」の記事をご覧いただこう。

《「保留」とすることで再び提起する余地を残し、韓国政府への圧力を維持する狙いとみられる。予備会議では「戦争抑止力」の強化策も議論された。核兵器などを指すとみられる》

 読売・時事・共同の3社が「北朝鮮は米韓を揺さぶった」と、外交交渉の一環という見方を示したのに対し、毎日新聞は「圧力を維持」と、北朝鮮が韓国から距離を置いていることを重視したようだ。

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