体験者は語る、コロナ自粛中にマッチングアプリに集う無軌道な男女のリアル
令和の安打製造機、語る
──アプリで出会うに至るまで、何人くらいと連絡するものなんですか?
イチロー: まず、一般的なマッチングアプリは、スマホの画面に表示された異性のプロフィールが気に入れば右にスワイプする。相手側も自分を右にスワイプしていれば、お互いに気に入ったということでマッチング(※お互い連絡を送り合える状態)が成立します。
僕の場合、流れとしては、1ヶ月あたり50~60人とマッチして、お互いちゃんと自己紹介ができるのはその半分、実際に会うのはその1割って感じです。顔を合わせるところまでいったら、そこからベッドインまでは早いですね。
──過去数年間、マッチングアプリで遊んできたと聞いています。コロナ流行後に変化はありましたか。
イチロー: コロナ前と比べると、「声を聞きたい」「電話だけでいいから誰かと繋がりたい」みたいな理由でアプリを使っていると話す人が増えた印象です。実際に会うとやれる点では同じなのですが、動機に変化が見られます。
仕事が減ったり出勤回数が減ったりして、みんな心理的に不安なんですよ。理性的に考えれば、マッチングアプリで新しい男と会って濃厚接触する行動なんて不合理極まりないはず。でも、不安やさみしさを埋めたい心理が先立つのではないでしょうか。
隅田川で確立した「新しい生活様式」
──イチローさんの側は、コロナ流行後に行動変容はありましたか?
イチロー: 4月ごろは外食する店が開いていないことが多かったので、相手と会ってから食事よりも散歩が増えました。「隅田川を一緒に歩こうよ」みたいな。これは意外にサプライズになるらしくて好評です。
隅田川を歩いて、なんとなくお互いに手を握って、コンビニで檸檬堂(缶レモンサワー)を買って、自分の家か相手の家でやる。この流れがコロナ流行下の基本パターンです。
──アプリで出会う相手と隅田川を歩き、お酒は家で檸檬堂。こんなところにも新しい生活様式が。
イチロー: あと、夕方の隅田川で相手といい雰囲気になったときに「そろそろマスク取った顔を見たいなー」とかですね。そこで相手の唇に人差し指で軽く触ると意識してくるので、そっとキスに持っていく流れです。
──実に手慣れていますね……。ほかには?
イチロー: 待ち合わせ場所に車で迎えに行くことが増えました。
──公共交通機関の利用を避けつつ、都心で自家用車を所有している経済力を見せると?
イチロー: いやいや(笑)。いま、某大手カーシェア会社がコロナ応援企画で、夕方6時から翌朝までのナイトパックを全クラス一律で500円くらいに設定しているんです。これを使います。
都内だと、待ち合わせの場所にいきなり自動車で来たら、けっこうサプライズじゃないですか。もちろん、理由を尋ねられたら素直に「500円のカーシェアだよ」ってバラすんですが、ちょっとウケるし話のきっかけになりますよね。
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