文在寅は北の手先か 「脱北者団体」を刑事告発して独裁者のご機嫌取り
衝撃の米朝首脳会談から2年、世界が動き出すかもしれないというあの時の「熱狂」は今、微塵も感じられない。世界の迷惑者であり続けている北朝鮮のトップにその責任の一端があるのは論を俟(ま)たないが、「問題児」はすぐ隣にもいる。まるで北朝鮮の属国であるかのように振る舞う、韓国の「反日大統領」だ。
〈偽善者金正恩(キムジョンウン)!〉
5月31日、こう書かれたビラが風船とともに北朝鮮に降り注いだ。これに対し、今月8日、正恩氏の妹で同国のナンバー2の与正(ヨジョン)氏らが、「対南事業を徹底して敵対事業に転換すべきだ」と激怒し、韓国を威嚇した。
産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏曰く、
「1月下旬、北朝鮮は中国からの新型コロナウイルス流入を防ぐために中朝の国境を封鎖しました。その結果、生活必需品のほとんどを中国に依存している北朝鮮の国民の生活は一層困窮。人々の不満が高まっているなか、正恩氏は韓国敵視を強めることで国民の団結を図ろうとしたのでしょう」
こうした北の思惑に嵌(は)まってしまったのが文在寅(ムンジェイン)大統領で、6月10日、韓国の統一部はビラ風船を飛ばした団体と、米入りペットボトルを海に流して北朝鮮に送っていた団体、いずれも脱北者団体である両者を刑事告発すると発表したのだ。
「韓国は主権国家か」
容疑は南北交流協力法違反。北朝鮮に物品を持ち出し交易するためには統一部長官の承認が必要であるのに、両団体はそれを怠っているというのである。
同様の行為はこれまで何度も行われてきたものの、ビラ等は「交易」に値しないということで同法が適用されることはなかった。にも拘(かかわ)らず、文大統領は今回、強引に同法を用いて両団体を取り締まる暴挙に出たのだ。先の黒田氏は、
「文氏は大統領就任以来、『南北和解』と『平和共存』を掲げてきました。したがって、対北朝鮮政策は宥和以外に選択肢がなく、今回もいつもの通り北朝鮮に阿(おもね)ったわけです」
と解説するが、刑事告発された2団体のひとつで、米入りペットボトルを流していたNGO「クンセム」の朴晶悟(パクジョンオ)代表が憤る。
「我々は飢え死にしそうな北朝鮮の人のために米を送っているだけです。しかも5年も前から続けてきたことを今になって突然、法律に違反していると言う。要は金与正に文句を言われたから、それに応えるために我々を刑事告発したに過ぎません。誰が納得するでしょう。喜ぶのは誰だと思いますか? 今後、私は警察に出頭することになると思いますが、これは文政権の横暴であり、このような状況の韓国を果たして主権国家と言えるのか疑問です」
こうまでして文氏は北朝鮮に媚(こ)びてみせたというのに、その後、北朝鮮は南北共同連絡事務所を爆破。一言、文氏は完全に嘗(な)められているのだ。
龍谷大学の李相哲教授が呆れる。
「最悪の独裁者の機嫌を取るために、自国民に刑事罰を与えようとするなんて、文大統領は気が動転しているのではないかと思うくらいに、言語道断で本当に馬鹿げた対応です」
それでも南北宥和と言い張る文氏……。よく言うわ。