日本のコロナ対応は慎重すぎる 入国緩和に及び腰、テレワークが招く大うつ病時代

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「感情的に議論している」

 一方、日本人にとっては接触8割削減と、42万人死亡がトラウマになっているようで、それは緊急事態宣言が解除されたいまも、深く尾を引いている。一例がテレワークだろう。

 政府の専門家会議は4月22日、「人との接触を8割減らす、10のポイント」を発表し、そこには「仕事は在宅勤務」と明記されていた。その発展版ともいうべき「新しい生活様式」にも、「テレワークやローテーション勤務」「会議はオンライン」と書かれている。

 しかし、過剰な自粛は経済に甚大なダメージを与えるばかりか、人間破壊にもつながりはしないか。精神科医の和田秀樹氏は、

「引きこもり傾向がある人などには、煩わしい人間関係がない分、メンタルにもいいので、全面的に反対というわけではない」

 と断りつつ、こう語る。

「一般には人としゃべることでストレスが解消されたり、不安感が減ったりする人が多数派です。それにうつ病であれ、依存症であれ、不安神経症であれ、人と会話したり、ストレスを人に打ち明けたりして病状が緩和されることは多く、その意味では、テレワークが中心になるとストレスが溜まる人、うつ的傾向になる人が出て、大きな問題になると思います。また、リモートだと相手の表情の変化が読みにくい。会議中に相手が不機嫌になっても、気づかずに人間関係を悪くして、それがストレスになるかもしれない。また相手を不快にさせても、テレワークだと仲直りの機会もかぎられ、そもそも、こういうコミュニケーション自体が不自然なので、慣れない人にはストレスになります」

 ところが、テレワークは礼賛され続けている。和田氏は、こうつけ加えた。

「会社がテレワークに変わっても、お茶をしたり飲み会をしたりと、リアルコミュニケーションの機会を保たないといけません。ところが“新しい生活様式”は、それも邪魔する。食事中にしゃべるなとかふざけた話で、これを作った感染症学者たちは、人間には心がないという発想なのでしょう。リアルなコミュニケーションをとることにさえ遠慮がある社会になりつつあるのが、怖いと思います」

 行きつく先が、不安や孤独が蔓延する大うつ病時代だとしたら、それほど怖いことはなかろう。

週刊新潮 2020年6月25日号掲載

特集「『吉村知事』が『8割おじさんに騙された』!」より

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