日本のコロナ対応は慎重すぎる 入国緩和に及び腰、テレワークが招く大うつ病時代

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 日本は諸外国にくらべ、開放に慎重である。いまも111の国や地域からの入国を拒んだままで、夏からビジネス関係者は1日最大250人ほど受け入れるとはいうが、対象はタイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドと、感染が拡大しなかった4カ国にかぎるという。

 現在、インバウンドの消滅による経済的打撃はもちろん、学術交流も文化交流も途絶え、学生の留学チャンスの喪失も、将来の日本に暗い影を及ぼしかねない。そこに立ちはだかるのも北海道大学の西浦博教授(理論疫学)である。いわく、感染者が1日10人、海外から入国すると、90日後に99%の確率で大規模な流行が起きる――。新たにこんな試算を発表されれば、国は一歩を踏み出しにくい。

 しかし、感染者24万6千人超、死者2万8千人超のスペインに住むライターは、

「日本とくらべると、スペイン政府の決定はかなりスピーディーに感じます。6月22日から、国内の移動は全土で自由になると発表されました。また欧州諸国からの渡航は、7月1日から解禁される予定が、急遽早まって、21日から認められることになったんです」

 と言い、こう繋ぐ。

「日本人の会話を聞くと、海外イコールウイルスのような感覚が強いと感じます。若い帰国者や留学生が日本で叩かれている、という話が伝わってきて、閉鎖性にさみしさを感じます」

 感染者23万8千人超、死者3万4千人超を出したイタリアはどうか。フィレンツェ在住のライター、小林真子さんが言う。

「6月3日、全土で移動が解禁され、欧州で初めて国境封鎖も解除され、欧州諸国からの入国者には、14日間の隔離要請も撤廃されました。感染の中心だった北部ロンバルディア州だけは閉鎖しておいてほしい、という声が愚痴レベルではあっても、大きな反対はありませんでした。7月以降は、EU以外の国からの観光も受け入れるようです。海水浴場も、チェアとパラソルの距離を大きく空けるなどの対策をとってオープンし、どこかが閉鎖されるという話もありません。イタリアは観光業が経済の大きな柱。特に欧州は7月、8月がバカンスシーズンなので、開放をそこに合わせたかったようです。マスク、ソーシャルディスタンス、手洗い消毒を徹底し、予防しながらすごすしか道はない、という雰囲気です」

 ロンバルディア州の州都、ミラノ在住のオペラ歌手、脇園彩さんは、

「ほとんどの国民が、積極的にマスクを着用したりしています。3カ月の長いロックダウン生活がトラウマになっていて、二度とあんな生活に戻りたくないから、従順に決まりを守っている、といった様子です」

 と、こう話す。

「ミラノはイタリア経済を引っ張る都市だから、開ける、開けないは、経済状況とのせめぎ合いだったと思います。経済的要因で亡くなる人のほうが多くなってしまうから、開けざるをえないと。日本のように慎重に進められたらいいのかもしれないけど、経済の状況をみると進めざるをえない。ただ政府の対策、対応には誠意が感じられました。たとえば“こういうリスクがあるらしいが、自分たちにもわからない。もしこうなったら新たに条例を出したい”という感じで、透明性がありました。意外とみな従順なのは、だからでしょう。3月、4月は毎日救急車の音が鳴りやまなかった。本当の怖さを知ったからこそ、いま正しく怖がることができているんです」

 対して、本当に怖い経験をせずに済んだのに、扇動的な試算に踊らされたあまり、絞める必要がない首を絞めているのが日本である。

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