中国が豪州に浸透工作 世界支配を許してはならない(KAZUYA)
近年の中国の問題は「やりすぎ」なところです。
「中国の夢」に邁進しているからこそなのでしょうが、露骨にやりすぎて各国からの警戒感が高まり、敵が増えている状態です。
最近は豪中関係も良くありません。豪政府は新型コロナウイルスの発生源に関する独立調査を呼びかけるという、普通に考えると当然のことをしたら中国が圧力をかけて関係が悪化しています。
中国からすると豪州は「格下」の感覚でナメているのでしょう。4月27日、中国紙・環球時報の胡錫進編集長は豪州のことを中国の「靴の裏についたガム」に似ているとSNSに投稿しています。ナメているからこそ、豪州が中国に楯突くのが許せないのでしょう。
中国が豪州に対して浸透工作を仕掛けているというのは、最近日本で翻訳出版された『目に見えぬ侵略』(飛鳥新社)に相当な数の事例が出てきます。この本は豪州における中国の浸透工作について論じたもので、2018年に豪州で出版されベストセラーになっています。政治家、企業、大学、あらゆる場所に中国が浸透した事例を詳述しています。
著者のクライブ・ハミルトン氏自身、中国が豪州において本格的な浸透工作を仕掛けていることに懐疑的であったと述べています。しかし調べれば調べるほど裏付ける証拠が次から次へと出てきたとしています。
例えば(豪州)政治家と中国人富豪の癒着です。富豪が政治家をあらゆる面で支援することで「中国の友」に仕立て上げ、中国に有利な発言をさせるのです。元首相や外相も中国で接待されて、すっかり「中国の友」として中国の味方として発言している様子も書かれています。
さらに読み進めると、華僑を動員して浸透工作を行うという話も出てきます。
華僑がみな協力的というわけではありませんが、中国共産党は中国本土の親族等を脅しの材料に使うという手法も紹介されています。脅されてしまうと、なかなか逆らうことはできないでしょう。心ならずも共産党に協力することが考えられます。
しかしこうした中国の手法は、世界各地の中国人に対する偏見を助長させるのではないでしょうか。
どこに住んでいようとも、中国共産党の紐付きだとすると、根っこの部分で中国人を信用できないということになるでしょう。「この人は信頼できる……とは思うけど、もしかすると浸透工作の一環かもしれない」と、疑念は晴れません。これは差別などではなく、中国共産党がそうした手法を行っている以上、仕方ないのです。
中国共産党のやり方こそ、中国人への偏見を助長する本質的な原因となっています。世界にとっての一番の問題は中国共産党が中国を一党独裁で支配する体制そのものです。
工作をやりすぎた結果、豪州は中国に対する警戒感を強め、少しずつ中国と距離を取ることを模索しています。日本も決して他人事ではなく、中国の手法に警戒しつつ、一党独裁の中国とは適切な距離を取るべきです。