韓国、慰安婦像前の集会が終焉…「日本大使館が承認した」「文化祭だからOK」という警察の嘘
慰安婦問題がモンスター化
事例2.「正義記憶連帯集会は日本大使館の承認の下に開かれています」
さらに警察はこんな風に伝えてきた。
「在韓日本大使館前の《日本軍慰安婦》関連の集会の場合は、日本大使館側が問題視しないという公文書を送ってきていると聞いています」
多数の警察関係者が、左翼傾向の市民団体側の集会を保護しようと目論んでいるのか? 反文在寅の市民をだましているという情報提供を受けた私は、早速ソウル特別市地方警察庁傘下の南大門警察署に足を運んだ。
南大門警察署の管轄区域に属する明洞(ミョンドン)には中国大使館がある。記者が市民の立場で中国大使館前での集会開催届を出した場合、南大門警察署側がどのような反応を見せるか大変気になったからであった。
私が書いた集会届を、南大門警察署集会申告担当であるB警衛(日本の「警部補」に相当)に提出してみた。
すると、この担当者は私に対し、「外国公館の境界から100メートル以内で集会の開催は不可能である」という返事をするではないか。
私は当然、正義記憶連帯の日本大使館前での集会に言及した。担当者は、「日本大使館前での集会の場合、日本大使館の承認の下に行われている特別な事例」であり「中国大使館前での集会の場合は、大使館側が承認してない」という説明で済まそうとした。
鐘路警察署に続き、南大門警察署から同じ返事をもらった私は、このような認識がソウル市内の主要警察署関係者の間で広く広がっているのだと痛感せざるをえなかった。
去る2月にはこんなことがあった。ある市民が「正義記憶連帯」集会の現場で、「外交関係に関するウィーン条約」第22条を根拠にして集会開催に警察が協力することは「間違ったこと」だと警察に抗議した。するとソウル鐘路警察署警備課所属C警官が出てきて、「正義記憶連帯側の集会は、日本大使館側が許諾したものと知っている」と、ここでもまた同じことを言うわけだ。
この許諾に関して、日本大使館にも問い合わせをしたが返事はなかった。どうして答えないのだろうか……。
日本の大使館が、自国を糾弾する集会やデモ開催に許諾を与えることなどあり得ない。だから、警官たちの嘘であるのは明らかだ。一方、警官の立場から見れば、「日本の大使館からの許諾」というのが、先輩から後輩への申し渡し事項だったのだろう。韓国社会において、慰安婦問題で反勢力に加担することはタブーであり、面倒なことで、どんな恐ろしい結果に繋がるかもわからない案件なのだ。触らぬ神に祟りなし、という言葉がもしかしたら近いかもしれない。
結局、今まで何十年も行われてきた慰安婦の水曜集会は、現場警察官の間違った認識に起因しているのは間違いない。
これまでには慰安婦像の撤去を求める集会申請もあったはずである。しかし、警察に撤去運動すら申請できずにいたことを考えると、慰安婦問題が韓国のどんな公的、公共機関であっても黙認せざるえない政治的な武器、もっと言えばモンスターと化していることが理解できる。
右派による「尹美香」糾弾集会
こうやって約3カ月の取材を通し、私は警察の間違った認識を世間に発信し続けた。それによって現在、少女像の周りは以下のような状況となっている。
1.水曜会が「24時間少女像を守る」との理由で常時設営されていたテントの撤去
2.少女像後ろの巨大な掲示板の撤去
3.少女像後ろの横断幕一時撤去(今も集会時に設営している)
4.水曜会の行われていた場所を指定して、いち早く集会の開催を申請することでの占有
5月17日には、日本大使館前「日本軍慰安婦」像を中心に半径100メートル以内の地域で、正義連帯以外の3つの団体が同時に集会を行うことができた。
1992年以降、今の「正義記憶連帯」が「日本軍慰安婦」関連の集会を開催してきた場所での集会開催優先順位は、6月23日午前0時を機に、韓国の保守系の市民団体「自由連帯」(代表=イ・ヒボム)に戻ったのだ。
「自由連帯」は6月24日水曜日に、「正義記憶連帯」が過去28年余りの間、集会を開いて来たまさにその場所で「正義記憶連帯」と前代表の尹美香を糾弾する内容の大規模な集会を開催する計画である。
「自由連帯」側は23日午前0時から、日本大使館前の「日本軍慰安婦」像付近の占有を開始する。
それに対し「正義記憶連帯」は、24日水曜日のデモを「肉弾阻止」と位置づけ、大掛かりなデモを計画中と伝えられている。
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