韓国、慰安婦像前の集会が終焉…「日本大使館が承認した」「文化祭だからOK」という警察の嘘
どうして28年も続けられたのか?
28年にも亘った、ソウル・在韓日本大使館の慰安婦像前で行われてきた「水曜集会」。慰安婦のおばあさんの告発の結果、疑惑のデパートと化した尹美香が率いてきた「正義記憶連帯」の集会がなぜ公然と認められてきたのか。それは、「日本国大使館からの承認を得ている」と韓国警察が主張してきたことによるものだった。その法的根拠の薄弱さを突き、世に問い、いよいよ集会を終焉に追い込んだ記者によるリポート。
***
2020年6月24日は、韓国における日本大使館前の市民運動の歴史上、非常に特殊で特別な水曜日になるであろう。
1992年1月8日以来、韓国の首都・ソウル特別市鍾路区(チョンロク)にある在韓日本国大使館の前で開催されてきた正義記憶連帯の「日本軍性奴隷制問題解決のための水曜集会」。韓国の反文在寅系の市民団体の集会開催地優先占有によって、「平和の少女」像の前では集会が開催できなくなったからである。
集会管理をする警察に対して約3か月に亘る私の取材と暴露がなければ、今も「警察の嘘」にもてあそばれて、我々は正義記憶連帯の集会の様子を遠くから指をくわえて何もできず、ただ憤慨して傍観するぐらいが関の山であったかも知れない。
日本軍慰安婦被害者として主張を繰り広げてきた李容洙(イ・ヨンス、92)氏。彼女による、正義記憶連帯の尹美香(ユン・ミヒャン、55)民主党議員に対する衝撃的な暴露記者会見があったのは、5月7日のことだった。にもかかわらず、日本大使館前の少女像付近では、日本軍慰安婦被害者らの代理人を自任する正義記憶連帯が涙の集会を続けてきたのである。
暴露会見以降の集会には正義記憶連帯に抗議するため、新たに3団体が毎週水曜日の正午、正義記憶連帯の抗議集会に合わせて集会を開催している。当然、尹美香の疑惑に対する抗議集会だ。ただ、新しく登場した団体に日本軍慰安婦像を前にしての集会の開催が、最初から許されていたわけではない。
果たして韓国の警察は市民を相手にどのような嘘をついてきたのであろうか。
事例1.「正義記憶連帯の行事は集会でなく文化祭です」
ソウル特別市地方警察庁(日本で言えば警視庁)の管轄である鍾路警察署の管理区域には、青瓦台(大統領官邸)をふくめ、各部(日本の省に相当)が点在する。「政府ソウル庁舎」など、国の主要な機関をはじめ、アメリカ大使館、主要諸国の公館などもある。
特に、アメリカ大使館の北側にある光化門広場では各種の行事ないし集会が常に開催されていて、鍾路警察署の前にはいつも集会届のための行列ができているのである。
公館より100メートル以内の区域では不可能?
日本軍慰安婦像をつくった作家夫妻から、名誉棄損で訴えられた『反日種族主義』の著者の一人、李宇衍(イ・ウヨン)氏。彼が支援者と共に作った市民団体が、反日像真実究明共同対策委員会(略称「共対委」)だ。そのメンバーとして活動している弁護士の金基洙(キン・ギス)氏が鍾路警察署へ足を運んだのは、昨年11月末のことであった。
金弁護士は、正義記憶連帯の集会に抗議を示すべく、正義記憶連帯の定期集会日に当たる昨年12月4日の正午、「日本大使館前の日本軍慰安婦像の近くで集会を開く」との内容で、集会届を鍾路警察署に提出した。
数時間たって鍾路警察署所属の警官から、金弁護士へ一本の電話がかかってきた。
「先生、さきほど鍾路警察署をお訪ねいただいたと思いますが」
鍾路警察署の集会届受付担当のA警査(日本の巡査部長に相当)の声である。集会届を提出した金弁護士に集会開催の目的と内容などを質問したA警査は、金弁護士にこう説明し始めた。
「集会及びデモに関する法律によりますと、外国の公館より100メートル以内の区域では、平日の業務時間帯の集会の開催は不可能です。正義記憶連帯の水曜集会慰安婦運動については、集会ではなく文化祭(警察は受付をしたくないから文化祭とワケのわからない弁明をしている)の形で、業務時間外のランチタイムに限って開催されているという旨、ご了承のほどよろしくお願いいたします」
金弁護士が、「ということは、正義記憶連帯のほうからも集会届がなされていないという意味なのでしょうか」と聞き返すと、A警査は「はい」と答えた。
弁護士とはいえ、個別の法律の具体的な内容にまでは詳しくなかったから、金弁護士はA警査のいうことを信用し、集会の開催を見合わせることにした。
しかし、ここに警察の最初の嘘が隠れているのだ。新しい集会を受け付けることによって、不必要な衝突を避けるための嘘なのか?
否、全く受け付ける気がなかったのだ。
私は「正義記憶連帯」側集会の開催詳細についても情報公開を請求して確認した結果、「正義記憶連帯」は、今まできちんと集会申告書を鍾路警察署に提出していることを確認できた。
鍾路警察署で集会申告受付業務を担当してきたA警査は、この事実を誰よりもよく知っていたはずなのだが。
[1/2ページ]