アパホテル「2500円」キャンペーン…歌舞伎町店で起こっていること
何泊もしながら掲示板で相手を募集
アパホテルが5月10日から始めた「新型コロナウイルスに負けるなキャンペーン」。1泊2500円のプランは世間の関心を大いに集めている。「負けるな」を謳うだけに、利用する人たちのしたたかさにも注目が集まって……。ライターの神田桂一氏によるリポート。
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僕は、そのときアパホテル新宿歌舞伎町タワーの一室にいた。備え付けの浴衣を着たキャバ嬢は嬉々として話し出した。年齢は20代後半だろうか。
「もうアパホテルに泊まって4日目。キャバが終わってから、掲示板で相手を毎日募集してるの。私が勤めているのは、大衆店かな。家に帰るより、ここのほうが、清潔で豪華で安いし、出勤に便利。家に帰るのはめんどくさい。結構周りのみんなもここに泊まって同じことやってる。コロナでお客さんは減ったけど、お金に特別困ってるわけじゃない。でももっとほしいからやってる。アパに泊まってると、ホテル代払わなくていいから、お客がつきやすい。掲示板の募集はコロナ前からも気が向けばやってた」
もともとはたまに相手をとる程度だったが、アパに泊まって、お客にもメリットが生まれたことで、毎日募集ということになったのだろう。
「これからもっと人多くなるよ。ホストの同伴組が、泊まっていくからね。今、このホテルのお客ってほとんどそういう目的の人なんじゃないかなあ。あなたも帰るのめんどくさくなったら早く予約しておかないと埋まっちゃうよ」
立地は歌舞伎町のど真ん中。ゴジラがそびえ立つTOHOシネマズ新宿のすぐそばだ。僕はフリーのライターで、仕事は基本的に自宅ですることが多い。たまに気分転換に外の喫茶店などでやることもあるが、コロナの自粛要請のおかげでどこも閉まっている。
そんなときである。アパホテルが「新型コロナウイルスに負けるなキャンペーン」と題して、5月10日から1泊なんと2500円のプランを始めたのだ。ホテルでカンヅメも悪くない。そう思って、さっそく僕は予約をとって泊まりに行くことにした。
泊まったところは冒頭に書いた新宿歌舞伎町タワー。入り口に着くと、誰かと待ち合わせしていると思われる男女がまるでホテルから追い出されたようにあふれ出ていた。なんだこれはと思いつつも、そのときはあまり気にすることもなく、フロントに行き、チェックイン。
さて、原稿を書くかと気合を入れるもついついネットサーフィンをしてしまう。するとツイッターで、このホテルが売春の現場になっているという情報を見つけた。入り口でたむろっていた人たちは、もしかしたらこれのことかもしれない。僕は真相を確かめたくなった。
後日。真相を確かめるべく、僕は、某出会い系サイトに登録してみた。そこで、掲示板を覗いてみると、「新宿で会いたい」という投稿がたくさん出てきた。試しにそのなかのひとりにコンタクトをとってみる。「会いたいです。場所はどうしますか?」しばらくして返ってきた返事には「アパホテル歌舞伎町タワーまで来てくれますか?」という文言だったのである。他にも「ア○ホテルで会いたい」という直球の書き込みもあった。僕は、メールの相手に会うために、もう一度、アパホテル歌舞伎町タワーまで行くことにした。
途中、メッセージでやりとりする。アパホテルは、ルームキーがないとエレベーターを使えない仕組みになっている。なので、一階のロビーまで、女性に降りてきてもらわないと部屋まで行けない。だから、こまめな連絡が必要となる。
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