日向坂46はポッと出のアイドルではない 「けやき坂46」時代に乗り越えた“3つの事件”

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「もうみんなで辞めよう」

 けやき坂46を語る上で、次に触れなければならない事件は、17年4月6日に代々木第一体育館で行われた『欅坂46デビュー1周年記念ライブ』で起きた“1期生衣装部屋立てこもり事件”だろう。

 むろんライブ自体は欅坂46がメインを張ったのだが、そこにけやき坂46も数曲ながら参加することに。そしてそのリハーサル後に“あってはならないこと”が起きてしまったのだ。

 当日、リハーサルが終わって、ステージ裏でミーティングしていたときのこと。なんと場内のモニターに“ひらがなけやき増員決定!!”という文字が映し出されたのだ。

 実はこれ、本番中にサプライズでメンバーに知らせる段取りだった。スタッフはモニターに文字を出す練習をしていたというワケだ。だが、まさかメンバーがステージ裏にいるとは……。スタッフの凡ミスだが、とんだハプニングであった。

 これによってメンバーたちは大混乱に陥ってしまう。欅坂46はテレビやライブ、CDリリースなどで大躍進を続けているのに、けやき坂46はなかなか人気が出ない。歯痒い思いをしていた。

 当然そのような状況で追加メンバーを募集するということは、落第点を突きつけられたも同然だった。

 メンバーは「自分たち1期生もまだ活動し始めたばかりなのに、そこで追加メンバー募集となると、私たちの存在っていったい何なんだろう?」というショックで、泣きながら衣装部屋に駆け込んだ。

 そしてカギをかけて立てこもるという行為に出たのである。もちろん本番はボイコットする覚悟であった。

 その衣装部屋でメンバーの1人である佐々木美玲(20)が発したこのひとことは、当時のメンバーが受けたショックがいかに大きなものであったのかを端的に示す言葉としてファンに広く知れ渡っているので紹介しておきたい。

 いわく「もうみんなで辞めよう」。

 とはいえ、このとき“仲間外れ”にされたメンバーもいる。周囲を徘徊していた加藤史帆(22)と、トイレに行っていた柿崎芽実(18)――現在は卒業し、芸能界も引退――が衣装部屋に入れなかったのだ。

 それでも最終的には、本番で全力のパフォーマンスを披露したのはさすがというか。緊急報告“ひらがなけやき増員決定!!”の場面でも、「ええ~~っ」と驚いてみせ、“その場で初めて知らされたてい”という渾身の演技を見せた。

 3番目は“ムリヤリ大道芸修得事件”である。

 前述の『欅坂46デビュー1周年記念ライブ』から遡ること約2週間前の17年3月21、22日に、けやき坂46はZepp Tokyoにて初のワンマンライブを開催した。

“新しいパフォーマンスを取得してライブに活かせ!”というテーマのもと、タップダンスへの挑戦が発表されるという展開に。しかも直後にZeppツアーの全国開催発表と、そのツアー初日となる5月31日の大阪・Zepp Namba公演のオープニングアクトでのタップダンスの披露が告げられたのだ。

 問題はここからだった。唐突に「ひらがなはエンターテインメント集団を目指すんだ」という運営スタッフの方針ならぬ迷走が始まってしまう。

 例の『欅坂46デビュー1周年記念ライブ』への出演が決まったこともあり、そこで披露すべくけやき坂46は、大道芸を“ムリヤリに修得”することとなってしまったのだ。

 ちなみに披露された主な大道芸は、潮紗理菜(22)の一輪車、高瀬愛奈(21)のディアボロ、高本彩花(21)のバトン、そして佐々木美玲のダブルダッチなどである。

 以上がけやき坂46時代の珍事件3選である。

 現在は新型コロナウイルスの影響でその活動を制限せざるを得ない状況ではある。だが、コロナ渦が明け、本格的に活動が再開されたあかつきには、彼女たちの最大の魅力である“ハッピーオーラ”で観るものすべてを幸せにしてくれるに違いない。

上杉純也

週刊新潮WEB取材班編集

2020年6月21日掲載

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