金与正は「32才の若い女のくせに」という女性蔑視と格闘中…脱北専門家の分析
最近の最高権力者は金与正であるように見える
金正恩が本当に健在なら、権力をこのように内政と外政に分けたり、自身の威厳と絶対的権威を乱す愚鈍なマネは絶対にしないはずだ。
金正恩は今やっと36才という盛りの年だ。そんな時期に、権力を“あなた半分、私半分”に分けようという考えは爪のアカほども持っていないだろうというのが私の見解だ。
そして3つ目は今回、反韓の名分を立てて挑発をするスタイルが金正恩の時と明らかに違っている点。最も大きな違いは、北朝鮮からの挑発、そして金与正による声明が今までにないほど非常に増えていることだ。
これまでも金与正からの挑発的な声明は多々あったが、爆破の16日は特に1日で8つに及ぶ警告だの、声明、談話だのを一度にぶちまけた。前代未聞のことだ。
一連の金与正の強固な行動を分析し、これまで言及した論旨をまとめてみると、このような結論に到達する。
・金正恩の統治権力が金与正に移動している。
・それが短期的なものなのかそれとも継続的、永久的なものなのかわからないが、最近の北朝鮮の最高権力者、統治者は金与正であるように見える。
だが、金与正は女性である。
知らず知らずに兄・金正恩の代理として、白頭血統(金日成の血筋)を守ることを心ならずも受け持つようになった金与正は、家父長的な北朝鮮社会に厳然と存在する「男尊女卑意識」を無視出来ない。
北朝鮮のような絶対的な一人独裁体制は、独裁者のカリスマだけでは成立しない。いわゆる尊厳と権威による畏れと恐怖までが伴う必要がある。
だから金正恩の妹、子分としての役割をしていた金与正ではなく、君主としての威厳と絶対的権威を短期間で完全に構築しなければいけないのだ。
そんな思惑を一気に解決するならば今以上にスケールの大きいビッグイベント(挑発)が必要だが、いま北朝鮮が起こしている最悪な挑発以上に他に何があるだろうか。
今回の挑発が成功すれば、金与正は名実共に金正恩に代わる北朝鮮の新しい統治者となる。
そうなれば「32才の若い女のくせに」「女が男たちを意のままに押えつけつることができるものか?」と首を傾げる軍部と側近たちの姿勢が正されると目論んでいるのだ。
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