「横田滋さん」の孫娘・ヘギョンちゃんの今 32歳の主婦、北朝鮮で特別な地位に
愛娘に会いたいと訴え続けた父の願いは叶わず……。横田滋さん、87歳。運命に、政治に翻弄された人生の幕が下りた。長女めぐみさんが産んだウンギョンさんと面会できたのは、せめてもの救いだったと言うべきか。
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6月5日、拉致被害者家族の象徴的な存在である横田滋さんが、老衰で帰らぬ人となった。妻の早紀江さん(84)とともに全国を飛び回り続けたが、徐々に体力が衰え、2年前の4月以降、入院生活を送っていた。
麗澤大学客員教授で、「救う会」の西岡力会長によると、
「入院先の川崎市内の病院では、ここ2カ月はコロナの影響で早紀江さんも面会禁止。でも、テレビ電話で毎日話していたそうです。めぐみさんにもう一度会いたいとの思いを、ご夫妻で共有していたのでしょう」
13歳のめぐみさんが拉致されたのは1977年。それから四半世紀が過ぎた2002年10月、帰国した拉致被害者の証言から、ヘギョンちゃんことキム・ウンギョンさんの存在が明るみに出る。時を同じくして、彼女は日本メディアの取材に“おじいさん、おばあさん、こちらに来てください”と涙ながらに語った。
32歳の主婦に
社会部デスクが振り返る。
「それからの横田夫妻の胸中は察するに余りあります。本音を封印せざるをえなかったのですから。14年、夫妻が極秘裏にモンゴルへ飛び、ウンギョンさんとその娘さんと初めて会ったときもそうです。夫妻が孫に会うと“拉致問題の幕引きに利用される”との批判が、家族会や救う会、政治家の一部からあがりました」
とは言うものの、
「ウンギョンさんとの対面後、滋さんが、“彼女は真ん丸顔で、やっぱり同じ家系なのかなと感じました”と話した表情が忘れられません。政府は、年1回でも、どうにか会う算段をつけられなかったのでしょうか」
“孫や曾孫と定期的に会いたい”との偽らざる気持ちと、“政治利用されてはならない”との大義。滋さんはその狭間で揺れながら、ウンギョンさんに愛娘の面影を重ねていたのだろう。
その彼女は今、どうしているのか。モンゴルでの初対面時の写真を独自に入手して16年に公表した、参院議員の有田芳生氏が明かす。
「ウンギョンさんは32歳で、旦那さんと娘さんの3人で暮らしています。金日成総合大学で出会った旦那さんは、日本でいう文科省のような教育関連の役所勤めのかたわら、副業で中国相手の貿易も手がけていると聞いています。娘さんはもう7歳。小学生ですね」
一家の住まいは平壌市中心部の公営マンションで、
「部屋にはピアノがあり、旦那さんも弾くし、娘さんも習っているはずです。北朝鮮で家にピアノがあるのは特別な地位にある証拠。拉致被害者の家族だからでしょう。米や野菜、肉の配給は通常週2回ですが、若干多く配給されるそうです」
近くて遠い国に暮らす孫や曾孫は、滋さんの死を知っているのだろうか。