コロナ後も「反日活動」にこだわる文在寅 「G12招待」を素直に喜べない裏事情
コロナで世界は変わろうとしている。だが、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領(67)はコロナの前も後も反日。加えて、G7(主要国首脳会議)を拡大したG12への参加を呼びかけられ、文氏は舞い上がっている様子なのだが……。
6月2日、韓国は新たな反日カードを切ってきた。それも2枚も。まず、日本が韓国に輸出管理厳格化措置をとっていることに対し、WTO(世界貿易機関)への提訴手続きを再開させると発表。その上で、日本と結んでいるGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を改めて持ち出したのだ。
韓国出身で拓殖大学教授の呉善花氏が、文氏の腹の内をこう解説する。
「慰安婦運動を主導してきた挺対協(現・正義記憶連帯)がスキャンダルに見舞われていて、その影響で反日感情が弱まっては困るとの思惑から、新たに本格的に反日活動をやっていくというメッセージを出したのではないでしょうか」
残念ながら、世界のあり方を激変させつつあるコロナは、文氏の思想には全く変化をもたらさなかったようだ。事実、反日以外でも彼の「不思議」な外交戦略は不変なのだった。
5月30日、米国のトランプ大統領が新たな国際会議のあり方を提唱。従来のG7に、インドや豪州など4、5カ国を加えてG11あるいはG12とし、そこに韓国も招待する枠組みが浮上したのである。
これを受け、文氏は「喜んで応じる」とコメントし、韓国メディアも「我が国のコロナ防疫が認められた」「これで先進国クラブの仲間入りだ」といった具合に欣喜雀躍しているが、反面、「不安」も囁かれている。G12が「対中国包囲網」の側面を持つからだ。
“ドラ息子”の決断の時
「これまで文大統領は、経済は中国、安保は米国という『戦略的な曖昧さ』を貫いてきました。しかし、G12に加わるのであればそれは許されないでしょう」
と、龍谷大学の李相哲教授は指摘する。
「喩(たと)えるならば、トランプ大統領は目が届かないところでバカをやり、面前ではごまかしでその場を凌(しの)ごうとする“ドラ息子”に、『大目に見てきたが、今後は変な行動は許さないぞ』と念を押した。目の届くところにおきたいんでしょうね。文氏は中国のレッド陣営を選ぶのか、米国の自由主義陣営に残るのか、試されているのです」
したがって、
「G12への招待で虚栄心は満たされたものの、彼は内心困っているのだと思います。親中、親北朝鮮路線を継続し、国内の左派支持勢力にアピールするためには、米国は『韓国に文句をつけてくる居丈高な大国』であったほうが好都合。その米国から仲間入りを誘われ、『米国は嫌な国』という演出をしにくくなってしまったからです」(同)
とはいえ、それは文氏の「どっちつかず」が招いた自業自得。『悪韓論』(新潮新書)の著者で評論家の室谷克実氏はこう突き放す。
「韓国がG12に加われば中韓の間に隙間風を吹かすことができるし、参加を断れば韓国に対してより強く出られる。トランプ大統領にとっては、どちらに転んでもOKという寸法です」
韓国の国民にとって、敵は日本でも米国でもなく、煮え切らない自国のトップなのかもしれない。