「太田雄貴」会長就任で強化費が消えた! メダリスト「続けられない…」

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競技のエンタメ化

「本来、選手は協会から遠征費用の補助を受けられます。日本代表クラスなら協会が全額負担する場合もある。むろん予算は限られており、選手のレベルに応じて自己負担の割合は変わります。それが、昨年7月の世界選手権終了後、トップ選手ですら遠征費は自腹になった。どうやら、日本オリンピック委員会(JOC)から年度毎に助成を受けていた強化費が、半年経たないうちに底をついたそうなんです」(同)

 つまりは協会から“遠征費は自己負担せよ”というお触れが回ったというのだ。選手に使われるべきお金が、なぜ消えてしまったのか。その仔細に触れる前に、改めて日本フェンシング協会について説明しておきたい。

 創立から84年、日本で唯一のフェンシング競技団体として、協会は全国に49の支部を持つ。組織の頂点に立つのは、08年北京五輪、12年ロンドン五輪の銀メダリストで、世界選手権で日本人初の金メダルを獲得した太田雄貴会長(34)である。16年のリオ五輪で現役引退後、31歳の若さで会長に就任した彼は、フェンシングをメジャーにしようと奔走し、「改革の騎士」として持て囃されてきた。

 取り組んだのは競技のエンターテインメント化で、その成功例が年1回行われる「全日本選手権」だ。一昨年は会場をミュージカルなどが行われる東京グローブ座に変更。「スター・ウォーズ」ではないが、LEDを多用して剣の動きを分かりやすく見せる工夫が功を奏し、観客動員数が大幅に増加した。チケットが発売から僅か40時間で完売するという快挙を成し遂げたのだ。

 活躍の舞台はフェンシング界に止まらない。五輪招致活動にも熱心で、13年に南米・ブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会では流暢な英語でスピーチを披露。東京開催が決まった瞬間、会場の安倍総理や猪瀬東京都知事(当時)、滝川クリステル氏らと共に歓喜する姿をご記憶の方も多いだろう。

 そんな彼を、JOCは昨年末にIOCの選手委員に推薦した。東京五輪の開催時に行われるはずだった選挙で当選すれば、日本人初の選手委員となったかもしれない逸材なのだ。

 スポーツ紙の記者が言う。

「若さと行動力、なによりも爽やかなルックスと弁舌に秀でた太田会長は、スポーツ界でも評価が高い。彼が会長に就任して以降、日産をはじめ多くの企業が協会のスポンサーに名を連ねるようになりました。年間1社1千万円など太田会長はトップセールスで企業と交渉し、協賛金を引っ張ってくる。フェンシング界のみならず、日本のスポーツ界の未来を担う人材として期待されています」

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