金与正が脱北者を「人間のクズ」「ばか者」呼ばわり……北朝鮮“ヘイト談話”の効果

国際 韓国・北朝鮮

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 6月4日、韓国在住の脱北者団体が北朝鮮を批判するビラをアドバルーンに載せて飛ばした行為に対して、金正恩の妹で党第一副部長の金与正(キムヨジョン)が談話を発表した。中身は、「人間の値打ちもないくず」「汚い口をつぐまず吠え立てる連中」……と、聞くに耐えない罵詈雑言の嵐だった。

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 まずは、「自ら災いを招くな」とタイトルが付けられた金与正の談話の一部を紹介しよう。

《去る5月31日、「脱北者」なる連中が前線一帯に現れて数十万枚の反朝鮮ビラをわが方の地域に飛ばすならず者行為を働いたというニュースを見た。

問題は、人間の値打ちもないくずのような連中がむやみにわれわれの最高の尊厳(金正恩)にまで触れ、「核問題」に言いがかりをつけて不作法に振る舞ったことである。

その馬鹿者、「脱北者」なる連中が何をしていた者かを世界が知っているか分からない。

本当に、見物だと言うべきであろう。

文字をやっと読めるかどうかというその馬鹿者らが概念も持たずに「核問題」を論じようとかかってくるのだから、門前の小僧習わぬ経を読んだようなことだと言うべきであろう。

生まれた祖国を裏切った獣にも劣る人間のくずが人間の真似をしてみようとせいぜいすることがあの行為なのだから、汚い口をつぐまず吠え立てる連中に対して雑犬だと言わざるを得ない。

雑犬は雑犬で、それがうろつきながら悪事だけを働いているのだから、今やその主人に責任をただすべき時である。》

 と、まあこんな調子である。ヘイトスピーチと言っても過言ではない“汚い表現”のオンパレードだ。

「これが北朝鮮の表現スタイルです。相手を罵倒する時は、喧嘩するように自分の怒りを相手にぶつけます。常套手段なんです。汚い言葉を使うのは、長年に渡って踏襲されてきた独特な文化のようなものです」

 と解説するのは、ジャーナリストの高英起氏。

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