不倫騒動のアンジャッシュ・渡部建 ツッコミ嫌いのエリート芸人ゆえの壁
お笑い界では仇となる、ツッコミ嫌いという問題点
それでも佐々木希と結婚した当初は、様々な番組で彼女との関係をイジられていた。「アメトーーク!」や「行列のできる法律相談所」ではタジタジになっていたものだ。ただそれがよほど嫌だったのか、「行列」で共演していた東野幸治や宮迫博之は、結婚式には呼ばれなかったと明かしている。かねてより親交があったカンニング竹山も、招待されなかったと言っていた。自慢の妻の晴れ姿に、余計なツッコミが入っては台無しになると思ったのではないだろうか。
彼の願いは実ったのか、今回の騒動に対して本気でツッコんだ芸人はほぼいない。唯一、きちっとツッコんでくれたのはカンニング竹山くらいである。児嶋のツイッターには、劇団ひとり含めて多くのリプライが飛んだようだが、渡部に関する発信はまだない。おぎやはぎは半笑いでかわし、有吉も渡部を匂わせるイラストを投稿したきりだ。
しかしついに相方の児嶋が代理でラジオに出演した。厳しい言葉で渡部を断罪しながらも、彼の方が売れている格差を感じて強く言えなかったことを涙ながらに語った。ケンカをしても理論武装されてやり込められてしまう、と言う話もあったが、やはり渡部は相方にさえ、「ツッコミ」させないよう振舞っていたのだろう。
不倫をした芸人は、相方や周囲がネタにすることで禊を済ませてきた。ダウンタウンの浜ちゃんも、千鳥の大悟も、オードリーの春日も。狩野英孝も、とにかく明るい安村も。汗と恥をかいてお笑いに身を捧げてきた同族を守ろうとする、ある種の仲間意識。あるいは、人の不幸を使ってでもメシのタネにするというハングリー精神。どちらにせよ、笑いに変えれば全て良し。そういう周りのツッコミで、その芸人の寿命が延びる。そうした業界特有の「常識」は、一般社会では「非常識」にも映るだろう。ただ渡部だって、一度はそこで生きていくことを選んだ。そしてそのおかげで、さまざまな飲食店から特別待遇を受け、多くの女性にモテたのだ。
器用な人生で、恥をかくようなことなどないように見える渡部。彼を待つ芸人たちは、いい勉強の機会だと思っているのではないだろうか。渡部が芸人として復帰したいのかはわからない。でも今後もお笑いの道で復活したいならば、必要なのは美女でも美食でもなく、見るのも聞くのも嫌になるような、厳しいツッコミなのではないだろうか。
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