「ママ友LINE」を覗いたら…子どもは「スマホ廃人」夫は「妻依存症」 休校で家庭は爆発寸前!
LINEが生命線
しかし、そんなひと時はもちろん束の間のこと。日常の大半を占めるのはあの“一家巣ごもり地獄”だ。
コロナ後、女性にとって唯一、家での幸せは、家族がまだ寝ている朝に一人で好きなように朝食を食べ、録りためておいたドラマを観るひとときだ。
「朝しか、自分の時間がないんです。主婦って、家に自分の空間がないから。一人、リビングで好きに過ごすことができるのが、朝。ダンナが起きて寝室のドアノブを回す音が聞こえたら、瞬間、幕が下りてしまいます。もっと、寝てればいいのにって……。夫は“ドラマ、観てれば”って言うけど、夫が横にいる状態でなんか観たくない。このやりとりだけでも、面倒くさい」
夫が目覚めた瞬間、バラ色の朝が一気に曇る。
同じ思いを共有するからこそ、ママ友LINEで、「Zoom飲みをしよう!」と盛り上がった。でも……と女性は言う。
「主婦って自分の部屋がないから、息子や娘の部屋で、パソコンを借りてのオンライン飲みなんです。だから、“まだー?”とか催促されて、1時間が限界でした。それでもお互い、顔を見られて、すごくうれしかった。仕切りが襖の部屋しかないママは、“話を夫に聞かれるの、嫌だから、私は発言なしで参加するね”って」
だから、LINEがちょうどいい。電話だと重たいし、家族に聞かれる心配がある。
グータラ息子にイライラした時、無神経な夫にむっとした時、母親たちはLINEに向かう。
「子どもや夫への鬱憤をLINEに込める。そうすれば息子に文句を言わなくて済むし、夫にカチンときても黙っていられる。こんな時だからこそ、家の中は平和でいたいんです」
LINEは愚痴を吐き出す場だけでなく、お互いを励ます場でもある。
〈買い物、行くね~〉
〈気をつけてね~!〉
〈おかえりなさーい。お疲れさま!〉
〈ありがとう!〉
〈やっと、今日の家事、終わったよ!〉
〈えらいね~! がんばってるよね、あたしたち!〉
この声かけは、家族では成り立たない会話だと女性は言う。「ありがとう」も「お疲れさま」も、家族から発せられることはない。
「3食作るのがどれだけ、しんどいか。その後、洗い物もしないといけない。それを家族は何とも思わない。こんな日々が、延々と続いているんです」
だから、ママ友LINEは、コロナ禍を生きる母親たちにとって、かけがえのない生命線なのだ。
〈ダメだ、息子。勉強時間、ゼロ。もう、どうしようもない〉
自虐的に自分の息子をこきおろせば必ず、あたたかい言葉が返ってくるのも、ママ友LINEだ。
〈でも、いいとこあるじゃん!〉
〈やさしいじゃん!〉
母親たちはそれぞれの息子のいいところを伝え合う。その言葉で「そっか、うちの息子、いいとこあるのか」と思い返し、今日もため息ものの朝ご飯作りから、一日を始めるのだ。
社会人ってラクなんだ
ちなみに、わが家は、夫はおらず、長男は既に独立。この春、社会人となった次男と2人暮らしだ。次男は入社式もなく、初日からZoomを使ったテレワークが続いている。
「社会人って、こんなにラクなんだ」とほざく次男。確かに大学院時代は微生物の研究をしていたため、正月休みもなく、研究室に通い詰めていた。片道2時間の通学ゆえ、早朝に出て、帰りは終電という日々。17時に終了し、土日休みというのは、実際、「ラク」なのだろう。そのうち、“洗礼”を受けるはずだが。
そもそも、次男は4月に家を出る予定だったが、コロナの影響で配属先が決まらず、ここまでずれ込んだ。私自身も取材や打ち合わせが無くなり、副業の仕事も在宅ワークとなり、とにかくずっと家にいる。期せずして、子育て卒業に、少しの猶予をもらえた格好となった。
もともと、ぺちゃくちゃとよく話す間柄。買い物で重いものを持ってくれるのは大助かりで、3食作るのも2人分なら苦にならず、朝昼晩と一緒に食事を楽しんでいる。次男はテレワーク、私は原稿執筆と日中はそれぞれ仕事をして過ごし、少なくとも、家の中にストレスはない。
ふと思う。私がママ友LINEに駆け込まないのは、子どもが学校に通っていないから? いや、何より、夫がいないから?
ただし、私には経済面での先行き不安がある。5月までは原稿料が入るが、その先どうなるかは、何も見えない。副業の収入も、在宅で半分以下に。フリーランスへの給付金も入ってくるのはいつのことやら。果たして、どっちがいいのだろうか。
コロナで改めて考えた、家族の貌(かたち)。
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