「ママ友LINE」を覗いたら…子どもは「スマホ廃人」夫は「妻依存症」 休校で家庭は爆発寸前!

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 家族と24時間、顔を突き合わせる……世界を襲う「コロナ禍」はそんな非日常を各家庭に強いた。子どもは「スマホ廃人」、夫は「妻依存」、妻は「ママ友」とLINEでグチ……。ノンフィクション・ライター、黒川祥子さんがレポートする、爆発寸前・家族の悲喜劇。(以下は「週刊新潮」5月28日号掲載時点の情報です)

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「一斉休校になってから、ママ友LINEが1日180通、下手したら200通を超えることもザラにありました」

 こう語るのは、高校2年生の息子を持つ、首都圏在住の女性だ。女性は40代後半、同年代の大手企業に勤める会社員の夫、大学2年生の長男、公立の進学校に通う次男と4人で暮らしている。

 女性には子どもの部活やご近所同士など、関わりごとに“ママ友”がいて、それぞれとのLINEグループを持つ。中でも、最も濃密なやりとりをしているのが、次男と同級生のママ友で、メンバーは6人。女性を含む全員がパートタイマーのため、普段からほぼ週1という頻度で、“ママ・ランチ”を開いてきた間柄だ。

「パートなので、平日にランチができるんです。11時半ぐらいから3〜4時間、とにかく、しゃべり倒します」

 日中、夫は会社、子どもは学校に。自身は家事をこなして、パートに出かけ、週1の“ママ・ランチ”で顔を突き合わせてしゃべりまくってストレス発散――、これがコロナ禍前の女性たちの日常だった。

 当時、LINEはランチの約束など、便宜的に使っていた程度だったが、3月2日、小中高校が一斉に休校になると、その日常は一変した。

〈学校、休みになったね〉

〈そうだね、学校、なくなったね〉

〈朝から晩まで、子どもがいるよ〉

 頻繁なLINEのやりとりは、母親たちの茫然自失した状態のなか始まった。だって……と女性は言う。

「自分の人生において、こんなことが起きるなんて、信じられませんでした。子どもが朝から晩まで家にいるなんて、誰も思いもしなかった。子どもって普段、家にいないものなんです。夏休みなどの長期休みも部活があるし、友達と出かけたりするわけですから」

 それが、一日中、目の前に子どもがいる。しかも、何もすることがない。

「今の子たちってテレビを観ないので、ゲームしかないんです。一日中、ソファに寝っ転がって、スマホで、ずっとゲーム。思いがけず、学校が休みになって、楽しかったんでしょうね」

 家に子どもがいるだけで、あり得ないほどの戸惑いなのに、目の前の姿はただのグータラ。だから、ママ友LINEを起動する。

〈ずーっと、朝からゲームだよ〉

〈うちはずっと寝てる。昼になっても起きてこない。夜中、ゲームしてるんだよ〉

〈ずっとソファに横になって、ゲームだよ。椅子に座ることもないから、うちの子、頭が縦にならない〉

〈もう、スマホ廃人〉

〈うん、ネット廃人〉

〈くさい〉

〈一日中、パジャマ。着替えない〉

 目の前の息子を見ていると、母親たちは不安に駆られる。学校からの宿題を全くしない。このままネット依存症になり、学校に復帰できなくなるのではないか。不安と同時に、イライラも止まらない。ジャージのパジャマ姿を見るたび、ムカムカがこみ上げ、“怒り”スタンプが、LINEにどんどん積み上がる。

 直接、子どもに注意をすればいいのではと思うが、女性は頭を振る。

「明日、学校があるなら、子どもも気持ちの転換ができます。それがずっと家にいるので、言い合いになるのが怖くて、どうしても息子に強く言えないんです。だから、息子をしらーっと見て、息子の横でLINEを開き、写真を撮って、“今のうちの息子、これー”って送る。すると、“うちも、おんなじ~”って返ってきて、ほっとするんです」

 おまけに、部屋を片付けない。部屋がめちゃくちゃ汚いのも、共通のことだった。女性が次男に片付けるように言っても、「わかった」と言うだけで、一向に動かない。だから、母親たちはLINEに向かう。

〈親が代わりに片付けちゃ、いけないよね?〉

〈自立のためには、手を出したらだめだよね?〉

〈高校生だし、我慢だよ!〉

〈うん、我慢する!〉

 LINEは愚痴を吐き出す場であると同時に、励まし合いの場でもあった。

「LINEがなかったら、息子を怒鳴っていたと思う。それで親子ゲンカになって、家の中はぐしゃぐしゃ。怒鳴らずに済んだのは、LINEのおかげ。子どももツイッターやLINEで、子ども同士、つながっていた。ストレスを必死に外に向けていたのだと思う。エネルギーを内側に向けたら、家の中が爆発するから」

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