コロナ禍だから行かずに済ませる「フランスのバスク」で食べ飲み歩きガイド

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アレチュアというカリスマ生産者

 Arretxea(アレチュア)というカリスマ生産者がイルレギの忘れ去られた栄光を現代に甦らせました。それが周りの生産者に刺激を与えて全体の品質を向上させ、またここで修業した若い世代が独立したり、志を同じくする新たな意欲溢れるワイナリーが登場したりと、イルレギは活性化し熱い産地へと変わりつつあるのです。

 写真のように、謎の象形文字のようなラベルですが、この造り手の4つの理念が表現されています。右上は太陽。自然を尊重した作業をして自然の恵みをいただくということです。右下は古い時代の葡萄のプレス機。面倒や手間は多くとも現代の技術に依存せず昔ながらの方法でワインを造るということ。左下は急斜面の畑を表しています。過酷な労働をいとわず日当たりが良く水はけの良い、そして土壌がワインに向いた急斜面で葡萄を栽培するということ。左上が重い樽を人が持ち上げている絵です。安易に機械を使用する造り手が多い現代ですが、それらに頼らず手作業で丁寧な仕事を行うということ。ちなみにバスク人って力持ちが多いようですよ。ここではラグビーがサッカーよりも人気があるし、巨石を引っ張ったり、斧で太い丸太を切断してスピードを競うというような伝統競技があるそうです。

 バスク地方はフランスの中では雨が多く降るところです。だからこそ草や森といった緑に恵まれているのですが、アレチュアの畑も森に囲まれ、そばには家畜の放牧地もあり畑の上を多くの鳥が舞うという実に自然と調和したものでした。心安らぐ美しい景色です。バスクでも海に近いエリアはより賑やかでビアリッツ以外の街でもリゾートで訪れる人も多いのですが、海から離れた静かでのどかな緑のバスクは実に心落ち着きます。時の流れをゆっくりと感じられるように佇む、自然に囲まれた白壁に赤い木組みのバスクの伝統的建物の宿に泊れば、極上の非日常となる。フランスの他のどことも違うバスクならではの旅の良さが感じられると思います。

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