「笑われる存在」を貫いた孤高の人 演劇研究者が語る「志村けん」の凄み
「笑われる存在」貫く
その日の東京は、閑散とした街並みに満開の桜と雪が舞っていた。夜半に志村けんさんが逝ってしまった。
日本中の多くの子どもたちが、彼のコントに笑い転げてきた。その一方で、私たちはどこか、大人になったら彼から「卒業」するものと思っていなかったか。実際、人気テレビ番組「ドリフ大爆笑」「志村けんのだいじょうぶだぁ」を見て育った私の同級生たちは、中学・高校に上がるにつれて「卒業」していった。
今になって思う。彼の笑いは分かりやすいが、その凄(すご)みは分かりにくい。...