「二階」続投で角栄超えか「岸田」奪取か、政局の焦点は「自民党」幹事長人事
キングメーカーを目指す安倍首相
コロナ禍に検察庁法改正案など、大揺れに揺れた通常国会は6月17日が会期末となる。そのまま閉会となるなら、その後に、河井克行元法相と妻・案里参院議員の公選法違反容疑での立件はあるにせよ、政局の焦点は秋の内閣改造・党幹部人事に移る。その中で一番のポイントは、幹事長人事。二階俊博幹事長(81)が交代して岸田文雄政調会長(62)が後を襲うのか、安倍晋三首相の後継含みだけに、すでに注目され始めている。
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政治部記者によると、
「二階さんがこのまま幹事長を務め続ければ、今年の8月で就任してすでに丸4年になります。これまで最長だった田中角栄を超えることになりますし、そもそも1期1年という通常の任期を考えれば、相当長い。この間、選挙で負けていないので責任者としての任務は果たしているし、派閥の人数は増えていて影響力も大きくなっているし、選挙となればいろんな派閥の候補の選挙区にも入っていくし、その手練に追いつける者は正直いないですね。あと、自民党の幹事長はカネの面で相当オイシイんです」
例えば、直近の解散総選挙があった2017年分の自民党本部の収支報告書をめくってみると、選挙が近づくにつれ、連日のように千万単位の「政策活動費」が自民党から二階幹事長あてに支払われているのがわかる。自民党が2017年の1年の間に二階幹事長に支払った総額は13億8290万円にのぼる。党内で2番目に多い吉田博美・参院幹事長ですら約1億円だから、二階氏の突出ぶりは推して知るべしだろう。政策活動費とは何なのか?
「政策活動費は、政党が政治資金から支出する“組織活動費”のひとつです。組織活動費は、県連が主催するセミナーに講師を招く際の“旅費交通費”などにあてられます。ただ、政策活動費として議員個人に支出された場合、その後の使い道を公開する義務がありません。官房機密費になぞらえて“党の機密費”と呼ばれる所以です。目下、このカネを差配しているのが二階幹事長なのです。二階さんが、党内のみならず細野豪志氏など野党からも自派閥に引き込むことができるのは、そういったカネの力もあってのことなんです」
その一方で、
「安倍首相は、首相からの禅譲を狙っている岸田さんを幹事長にしたいと考えています。それは今に始まったことではなく、もう1年半前からの“プロジェクト”になっている。ただ、その最大の障壁は言うまでもなく二階さんです。安倍さんから何となく幹事長職の交代を“お願い”されそうになると、その独特の嗅覚で上手に立ち回るわけです」
二階さんの“上手な立ち回り”に触れる前に、政局スケジュールに関して少しだけ説明しておくと、2021年9月に自民党総裁の任期が、同10月に衆院議員の任期が、それぞれ切れる。自民党は総裁に関する任期を連続3期と決めており、安倍首相(総裁)が来年9月以降も総裁の立場に留まる場合には、「連続4選」となり、これには規約の変更が必要なのだ。
「まあ4選の規約変更そのものは、党内の空気次第でいかようにでもなります。安倍さんはそのことに関して一切言及しませんが、一方で後継者として岸田さんをほぼ指名した状態です。そこには、“キングメーカー”として君臨したいという思いが反映されているのは間違いない。実際にそのように話していたこともありますから」
ちなみにキングメーカーとは、後ろ盾となった人物がトップになることで影響力を行使し続ける者を指す。
党内の派閥の勢力図を見れば、それは一目瞭然だろう。
細田派97、麻生派55、竹下派54、二階派48、岸田派47、石破派19、石原派11、谷垣グループ16、菅グループ9、無所属43。
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