「SPEC」一挙放送、初見では戸惑いがちな本作を楽しむための3つのポイント

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ポイント(2)…「ドラマ展開の根幹に関わってくる人が誰なのか」が想像しづらい

「一話完結」「毎回ゲスト出演者がいる」という形式の場合、ゲストとして出てきた人の出演は一度きりであり、その人はその後のドラマ展開に大きくは関与しないというケースの方が多いだろう。

 しかし、「SPEC』の場合、スペックホルダーとして出てきたゲスト的な出演者がそのままドラマ世界に残留し、その後の展開に大きな影響を及ぼす。あるいはゲスト出演からしばらく間を開けた後に、“助っ人”的ポジショニングで突然登場したりと、ゲストを含めた出演者の扱いがかなり流動的なのだ。

 なので、視聴者はレギュラー以外の出演者に対しても「この人物はこれからもストーリー展開に影響を与えていくのか? それとも1回だけ出てきた人なのか?」と、疑心暗鬼になったりする。

 そこで「今後のストーリー展開に大きく関与する人たちだから、出てくるたびに気に留めておくべき人物リスト」を覚えておくと、観ていて楽になると思う。下記にそれを「主役」「主役の周辺」「スペックホルダー」と分けて記した。

 ちなみにリスト中「スペックホルダー」としている人は、スペックホルダーであることがドラマの中で最初から明らかにされている人だけであって、“登場した初回は一般人として出てきたが、実はスペックホルダーだった”ということがこのドラマではよくあることだということも覚えておくといいと思う。

*主役

・当麻(戸田恵梨香)…「未詳」捜査官。京大理学部卒業、IQ201で大の餃子好き。左手を三角巾で吊っている

・瀬文(加瀬亮)…「未詳」捜査官。警視庁特殊部隊SITの元隊員。よく紙袋を持っている

*主役の周辺

・野々村(竜雷太)…「未詳」係長。年の離れた婦人警官・雅(みやび)ちゃんが愛人

・志村(福田沙紀)…“瀬文に撃たれた”SIT隊員の妹

・地居(城田優)…東大大学院生。“いちおう”当麻の恋人

・津田(椎名桔平)…治安維持のため非合法活動を行う公安零課(こうあんゼロか)トップ

・海野(安田顕)…警察病院の医師。美鈴の兄・優作の主治医

*スペックホルダー

・ニノマエ(神木隆之介)…時間を止める(=数万倍のスピードでこの世を動き回る)能力を持つスペックホルダー

・冷泉(田中哲司)…占い師。未来を予知するスペックホルダー

・サトリ(真野恵里菜)…ロリータファッションの占い師。人の心を読むスペックホルダー

ポイント(3)…登場キャラたちの独特の癖やギャグ狙いの小物やメッセージ

 登場キャラの多くに奇妙な癖、言い回しや決めゼリフがあったり、背景に映るものにギャグ狙いの変なものやメッセージがあったりするのは、“堤ワールド”の癖みたいなもの。演出作品の「トリック」にも多々あった。

 最初の頃はちょっと鼻についたりする人がいるかもしれないが、慣れてくるとついつい「くすっ」としてしまうようになる。まあ、「ゲラゲラ笑う」という類のものではないのだが。

 このドラマ版が面白かったら、DVDや動画配信で他の「SPEC」関連作品も観ていくともっと世界が広がってさらに面白くなる。10年に放映されたドラマ「SPEC」(今回一挙放送されるもの)ほか、11年と13年に「翔」「零」の2本のスペシャルドラマが作られ、また映画版として「天」(12年)、「~結~漸ノ篇」「~結~爻ノ篇」(ともに13年)がある。

 一挙放送の後には、13年の「零」→11年の「翔」→あとは映画版を上映順に…という順番が、ストーリー展開の時系列的に適している。

 コロナ以降、ドラマはまだまだ再放送ものが多いが、「SPEC』のように10年たっても全く劣化していない作品の再放送が多くの人に観られることは、それはそれで悪くないことだと思う。

尾崎尚之(@YuuyakeBangohan)/編集者

週刊新潮WEB取材班編集

2020年6月11日掲載

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