「SPEC」一挙放送、初見では戸惑いがちな本作を楽しむための3つのポイント
2010年放送されたTBSドラマ「SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~」(全10話)が、同局で「SPEC一挙放送SP」としてこの6月11日~25日再放送されることになった。
このドラマをざっくり説明すると……
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「警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係」通称「未詳(ミショウ)」とは、他部署で手に負えない、超能力など科学的に説明のつかない事象に関わる難事件を捜査する部署。主人公は「未詳」に配属されたIQ201の天才で変人の当麻紗綾(戸田恵梨香)と、警視庁特殊部隊出身で軍人ノリの瀬文焚流(加瀬亮)の2人の捜査官だ。彼らが常人にはない特殊能力(=「スペック」)を持った犯人や秘密組織、時にライバルの「公安零課」と対決していく……となる。
演出を担当し、この世界観を作り上げたのは「トリック」でも有名な堤幸彦氏。ドラマには、ストーリーとはほぼ無関係でしようもないギャグやウケ狙いの小道具がしょっちゅう出てくる一方で、映像や音楽はセンス良くオシャレだ。それまで見たことのないような配役が設定されることも多く、視聴者を毎回楽しみにさせる。
普段はアホなことしか言わない登場キャラたちも、本気モードになった時のシリアスなセリフがまたカッコいい。ストーリーは伏線だらけで、展開は回を追うごとにスピード感を増していく。
そんな独特の世界観で、多くの「カルト的ファン」を生み出した。
この「SPEC」再放送決定のニュースは6月4日に流れ、SNSにはSPEC」信者の歓喜の書き込みが目立った。その書き込み数の多さが、この作品の持っている“息の長さ”を表しているといえるだろう。
実は私はリアルタイムで見逃しており、「Amazon Prime」で遅れて観たクチなのだが、10年前の作品とは思えないほど、まったく古びていない映像センスを持つ作品だとすぐに感じた。回を重ねていくごとにドラマ展開はスピーディになり、いよいよ面白くなっていった。結局、「SPEC」連ドラ版10本+スペシャルドラマ版2本、映画版3本をその週に一気に観てしまった次第だ。
私自身はかつて堤作品の「ケイゾク」や「トリック」に魅せられた一人であり、“堤ワールド”は全く知らない世界でもなかったから、この作品に何ら違和感を持たなかった。
しかし、今回初めて「SPEC」を観る人にとって、“堤ワールド”全開のこの作品には、以下に挙げるような、少し“戸惑う”“面食らう”要素があるかもしれない。
一度ハマれば、この作品は相当楽しめるものとなるのは間違いないにせよ、初めて観る人にとってはこの作品を観ていく上で引っかかるポイントは少しありそうだ。
そこで、“これに気をつければ楽しめるようになる”という「初心者戸惑い」ポイントを下記に紹介する。
ポイント(1)…回を追うごとに出てくる、複数の対立構造
作品に何度も登場する「スペックホルダー」とは、「千里眼」「時間を止める」など様々な特殊能力保持者のことを指す。彼らの事案を担当する「未詳」に所属する当麻と瀬文が、毎回このスペックホルダーを持つ新たな敵と戦っていくのが主な構成だ。
ドラマ版「SPEC」は基本的に「一話完結」なのだが、このドラマには初回1話目から最後までを貫く大・中・小の複数テーマがあり、それぞれに紐づいた対立構造(ないし緊張構造)がある。
「未詳VSスペックホルダー」という1つの構造があるだけなら簡単なのだが、そうではない。ドラマ版の中だけでも、下記のような対立構造(あるいは緊張構造)があることを知っておくと、初めて観る人は楽になると思う。
・未詳VSスペックホルダー(個人)
・公安零課VSスペックホルダー秘密組織
・未詳VS公安零課
・スペックホルダー秘密組織VSスペックホルダー
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