自民党2世議員の焼肉店トラブル 煙と臭いめぐり“店は公害”発言も

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「焼肉屋は公害」

 伊藤議員とマンション所有者との折衝にあたった、焼肉店の経営会社幹部の話。

「一昨年末、開店準備時点できちんと挨拶にうかがわなかったので、こちらにも非はあります。オープンしてからすぐに苦情を言われました。ですが迷惑をかけているならば改修するつもりで弁護士もつけたんです。なのに、昨年3月の22時前、営業中でお客さまがいるにもかかわらず、伊藤さんが“改修工事のプランを出せ”と怒鳴り込んできた。顔が真っ赤でお酒の臭いがしていたのを憶えています」

 そして、昨年4月。

「うちのダクトと排気ファンの使用禁止を求めた『設備使用禁止仮処分命令』の申し立てが出されたんです。以降、ダクトの向きを変えるなど500万円かけて計3回の改修工事をしました。先方にも納得いただけるほどに改善しましたが、今年4月、裁判所から命令を認める決定が出たのです」

 先のオーナーが話を継ぐ。

「ダクトとファンを使うなというのは焼肉屋として営業するなということ。うちとしては裁判もやむなしと営業を続けていました。すると5月、今度は『間接強制』の申し立てです」

 設備使用禁止仮処分を守っていないから守るよう命令を、という申し立てだ。

「そこに“1日当たり150万円支払え”と記されていたのです。額の算出方法は、席数や客単価、営業時間から、勝手に1日の売り上げを120万円弱として、そこに“懲罰的な意味で3割を加算する”と……」

 改修工事で状況は改善したというのに、あまりに無体ではないか。むろん、被害の深刻さは当事者にしか分からぬということもある。そこで、伊藤議員に“被害状況”や法外な要求額の理由などを尋ねたが、伊藤議員にかわって応じた夫人は、

「解決しているので、お話しすることはありません」

 と言うのみで、伊藤議員の代理人弁護士はこんな答え。

「コロナ禍で苦しむ飲食業者に多額の強制金の支払いを求めることについて問題視されているようですが、そのような疑念があるとしたら当たりません。間接強制の強制金は当職が算定しました。裁判所の命令を無視して営業しても割に合わないと感じる金額である必要があるためです」

 店のオーナーが、意を決したように目に力を込める。

「コロナで世の中全体が大変なときです。本来ならば補償の仕組みを決めるなどして私どもを助けてくださるはずの国会議員が、店を営業するな、するならカネを寄越せとはあまりに酷い。もっと言えば、伊藤議員は折衝時に“焼肉店は公害をまき散らすのに、なぜここに作ったのか”と口にしていた。そんな見下すような言い方をして、ギリギリで耐えている飲食店をイジメるのはどうかと思います」

“東北のケネディ”も泉下で嘆いているのではないか。

週刊新潮 2020年6月11日号掲載

ワイド特集「煙が目にしみる?」より

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