「日本は中国批判声明に参加拒否」報道の波紋 安倍政権が“弱腰”なのは紛れもない事実

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財界も中国に“忖度”

 一方の日本政府だが、「新型コロナウイルスの感染が拡大したのは中国の責任だ」と抗議したことは一度もない。

 念のため、外務省の公式サイトが4月30日に掲載した報道発表「秋葉剛男外務事務次官と楽玉成・中国外交部筆頭副部長との意見交換」を見てみよう。

 記事には、新型コロナの問題を巡り、《忌憚のない意見交換を行い,両国が外交当局間を含む様々なルートで引き続き連携していくことを確認》したとある。

 欧米各国やインドが対立的な姿勢を鮮明にしているのに対し、わが国は中国と《連携》だ。あまりに違うと言わざるを得ない。

 古森氏は、安倍晋三首相(65)が5月25日、緊急事態宣言の解除を発表し、官邸で開いた会見に注目する。

 この時、質疑応答で、アメリカの経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の記者から“直球”の質問が飛んだのだ。

「記者は、『新型コロナ問題を巡ってアメリカと中国は激しく対立しているが、日本はどっち側につくのか』と質問したのです。これこそ、日本のメディアが行わなければならない問いかけだったでしょう。結局のところ安倍首相だけでなく、日本の大手主要メディアも中国に対して及び腰なのです」(同・古森氏)

 財界も変わらない。中西宏明・経団連会長(74)は新型コロナの問題が発生する前から、中国を擁護する発言を繰り返している。

 昨年、中西会長は米中貿易摩擦をテーマとするウォール・ストリート・ジャーナルの取材を受けたが、その発言は2月に「中西経団連会長『中国は敵ではない』 WSJインタビュー」との見出しで同社の日本語電子版サイトに掲載された。

 新型コロナが発生すると、アメリカは先進7カ国首脳会議(G7サミット)にロシアやインドなど4カ国を招待する考えを示した。これに中西会長は、「対中国を意識しているのであれば、ちょっとセンスが違う」と異を唱えた。

「テレビ番組で中西会長が新型コロナに関して発言するのを見ましたが、中国で発生したウイルスであるという事実に触れないよう、細心の注意を払っていたのが印象に残りました。新型コロナウイルスが武漢市でアウトブレイクしたのは事実ですし、そのことに触れても、まさか中国政府が経団連に抗議するはずもありません。中西会長の姿勢は自主規制の代表例とでも言うべきものです」(同・古森氏)

 古森氏は「結局、安倍政権と財界、そして大手メディアは『中国に配慮する』ということで奇妙に足並みが一致してしまっているのです」と分析する。

 朝日新聞などリベラルなメディアが「中国を刺激するな」と論調を張るのは簡単に想像できる。しかし、安倍首相が中国に配慮を示すのは、少なくとも一般的なイメージとは少し食い違う。

「日本における対中配慮の源泉を辿ると、戦前の中国侵略に対し、戦後になると贖罪意識が生まれたことが原点でしょう。とはいえ戦後75年という歳月が流れています。また政財界が中国に対して及び腰となるのは、習近平氏(66)の国賓訪日といった短期的な政治イベントが本当の原因ではないでしょう。やはり日本経済が中国に依存していることが根本要因です。日本の経済成長に中国人観光客が不可欠なものとなり、中国国内の工場がなければ、製品が作れないと思い込んでいることが外交政策にも影響を与えているのです」(同・古森氏)

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