木村花さん事件 「あいのり」出演者が明かすフジの「台本」と「口封じ契約」

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 将来を嘱望されたレスラーは“テレビ的演出”の餌食となり、心ない中傷を浴びて命を絶った。が、彼女を護るべきだった局は歯切れが悪い。そんな中、実際の出演者が「恋愛リアリティー」の仕組みを明かした。

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 わずか22年の人生に終止符を打った木村花さんについては「週刊新潮」6月4日号でもお伝えした。出演した恋愛リアリティー番組「テラスハウス」(フジ系)で、共演者への態度が視聴者の反感を買い、2カ月近くもSNSで罵詈雑言を浴びていたのだった。

「番組は“台本は一切なし”を謳っていますが、もちろん演出家がいて随所に“打ち合わせ”が入ります。まして編集段階で制作側が恣意的につぎはぎするので、およそリアリティーとは言い難い。フジは今回、木村さんが誹謗されるきっかけとなった言動が演出だったかどうかを検証するとしていますが、うやむやにされる可能性も否定できません」(スポーツ紙デスク)

 そもそも、筋書きを定めないまま出演者が自由に振る舞っていては番組など成立しない。おのずとシナリオの存在が疑われるわけだが、同局系列のリアリティー番組「あいのり」に最近出演した女性が言うには、

「いわゆる台本はありませんでしたが、スタッフからの指示、エキストラの起用、出演者の意に沿わないキャラ作りや番組の都合を優先したウソの愛の告白などが大半を占めていました」

公表を禁じられ

 さらにこの女性は、

「私たちは出演にあたり、署名した同意書を提出させられたのです」

 示されたその書面には、以下のような条文があった。

〈本番組の内容及び本番組への参加で経験したことの一切について、新聞、雑誌(いわゆる「写真週刊誌」を含みますがこれに限りません。)、ウェブサイト、ブログ、SNSなど、一切の媒体で公表しません〉

〈取材にも一切応じません。但し、株式会社フジテレビジョン若しくは株式会社共同テレビジョンがわたくしに依頼し、又はわたくしに許可した場合を除きます〉

 女性が続けて、

「つい最近も、この文面が制作会社から送られてきました。これまでも定期的に届いていたのですが、そのたび、違反するとペナルティーがあるので同意書の内容を守るよう念押しされました」

 一方で、こう憤るのだ。

「あるメディアが今回、こうした他言無用を明記した契約書がテラハにもあったと報じ、局側に尋ねたのですが、フジは“そういう文はない”と否定していました。同じ局の恋愛リアリティーで取り決めの内容に差異があるのは不自然です。真実を隠しているように見え、木村さんもまた、こうした“口封じ”によって本当のことを話せない葛藤に苦しんでいたのだと思います」

 契約書を盾にした“口封じ”についてフジに問うと、

「両番組とも、撮影した内容が放送や配信の前に公表されないよう、出演者の皆様にご協力いただいております」

 元上智大学教授(メディア論)の田島泰彦氏が言う。

「テラスハウスにも同様の契約書はあったのでしょう。そして、このために木村さんが孤立無援の状態に陥ったのだとすれば、フジは彼女の自殺を助長したという責任を負わねばなりません」

 その検証には“演出”があってはならない。

週刊新潮 2020年6月11日号掲載

ワイド特集「煙が目にしみる?」より

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