伊藤詩織さん、ネット中傷で漫画家らを提訴、テラハ「木村花」さん急死も影響して

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調査チームが70万件から精査した

 チームを作って調査した結果、ネット上で詩織さんについて書き込まれた案件は計70万件ほど。その中から悪質性を判断していったという。攻撃的・否定的・名誉棄損の書き込みがどれくらいあるのか、問題のあるものを目視し、訴訟の対象としていった。さらに、「問題ツイート」を〈リツイート〉、〈いいね〉した人物を追いかけ、特定できたのがはすみ氏以外の2名ということだ。その他についても特定され次第、順次、訴訟対象に追加していく可能性があるという。

「本当はこうやって表でお話しすることも怖かった。そのことによってまた誹謗中傷が寄せられてしまう可能性もありますから。相手が見えないというのは本当に怖いことです。道を歩いている人たちが何を考えているかわからないですし。私はこの間、身の危険を感じてイギリスへ渡りました。“そういった誹謗中傷のメッセージは見なければいいじゃないか”という指摘もあります。ただ、見なくても情報が入ってきてしまって精神的に本当に大きな負担になってしまう。また、今の時代、見ずに済ませるということはなかなか難しいことです。(テラスハウスに出演し、SNS上で誹謗中傷を受けていた)木村花さんが亡くなった件があって、本当にショックでした。それもあって、急ぎ足でこの訴訟をスタートさせることにしました」

 会見に同席した担当の山口元一弁護士は、はすみとしこ氏のツイートを選んだ理由として、

「私は2月に受任してから、数があまりにも多くて、どれを選ぶのかどうかということはありました。はすみさんのものは悪質性が高いと判断しました」

 としたうえで、はすみ氏自身が“伊藤さんについて描いたわけではない”と言及している点について、

「これは過去の判例から、“個人の氏名を明示しない、あるいは別の氏名を表示してした表現行為を様々な要素から本人と同定する手法”というのが確立されています。それに基づけば、このイラストが伊藤さんのことを描いたんだということは明らかですね」

 と説明した。

「はすみ氏のイラストについては、ネット番組でそれを取り上げて、出演者が笑っているものもありました。ある女子高生から“痴漢の被害を受けた”と相談を受けたことがあります。“ネットで調べたら、セカンドレイプ的な発言を見てしまって、誰にも相談できない”ということでした。また、オンライン・ストーキング、オンライン・ハラスメントに関してどうしたらいいかわからない人は多い。私もその1人だった。今回の訴訟は私自身のものですが、1つの受け皿となっていけたら良いなと思っています」(詩織さん)

週刊新潮WEB取材班

2020年6月8日掲載

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