伊藤詩織さん、ネット中傷で漫画家らを提訴、テラハ「木村花」さん急死も影響して
はすみとしこ氏のイラストが拡散されて
2015年4月、TBSのワシントン支局長だった山口敬之氏(54)と東京・恵比寿で会食後、白金のホテルで性的暴行を受けたと主張してきたジャーナリストの伊藤詩織さん(31)。17年5月、詩織さんは検察審査会に審査を申し立て、実名で被害を訴えた後、インターネット上での事実に基づかない誹謗中傷の投稿が相次ぎ、精神的苦痛を受けた件で、6月8日、それらを投稿した人物に訴訟を提起することになった。ネットでの誹謗中傷と言えば、テラスハウスに出演していた木村花さんの不幸な出来事が頭によぎる。
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山口氏に対しては準強姦容疑で逮捕状が出ていたものの、当時の警視庁刑事部長で警察庁次長の中村格氏(56)が逮捕状を執行せず、書類送検後に東京地検は山口氏の不起訴を決めた。
詩織さんはその後、肉体的および精神的苦痛を被ったとして、山口氏に対して損害賠償を求める民事訴訟を提起した。一方で、山口氏は「合意の下で行われたもの」で名誉および信用、プライバシーが棄損されたと主張し、反訴を提起。東京地裁は2019年12月、山口氏に330万円の支払いを命じる判決を下した。山口氏は控訴し、東京高裁で係争中だ。
そして今回の提訴は、漫画家のはすみとしこ氏ら2名が詩織さんに対する誹謗中傷の投稿を行ったとして、はすみ氏に550万円の慰謝料と投稿の削除、謝罪を求めている。
はすみ氏は、2015年9月、自著『そうだ難民しよう!』(青林堂)の出版に先立ち、国際慈善団体「セーブ・ザ・チルドレンUK」の写真家ジョナサン・ハイアム氏が撮影したシリア難民である6歳の少女の写真を無断で加工したイラストを作成し、「シリア難民は、ほとんど移民である」とコメントを添えて、自身のFacebook上に掲載した。そのイラストにおいて、少女は笑みを浮かべ、「何の苦労もなく生きたいように生きていきたい」「他人の金で。」「そうだ難民しよう!」と話しているように映る。
当時、シリア難民は国際的に注目されていたが、はすみ氏のイラストは、お金を目当てにシリア難民に偽装しているかのように捉えられるものだった。
世論は、イラストが差別的であると大いに反発。はすみ氏のイラストをレイシズムであるとしてFacebook社に削除を求める電子署名が集められるなどし、その後はすみ氏は、撮影者への配慮を理由にイラストを削除するに至った。
今回問題とされているのは、2017年6月4日から2019年12月21日の間にはすみ氏が自身のツイッターに投稿した5つのメッセージ付きイラストだ。ちなみに彼女のフォロワーは現在4万3000を数える。ここではそのツイートを詳らかにはしないが、「詩織さんと容易に推量が可能な女性が、自ら積極的に山口氏に近づいた」とも取れる内容が続く。
先に触れた、山口氏に賠償を命じる東京地裁判決を受けた後のツイートでは、《風刺画はフィクションであり、実際の人物や団体とは関係がありません。故に今回の地裁判決により作品を削除する意向は、当方にはございません》と述べているのだ。
6月8日、本件での提訴後、記者会見に臨んだ詩織さんは、こう話した。
「被害を公にした2017年5月から、ツイッターなど、オンライン上で誹謗中傷を受けるようになりました。ダイレクトメッセージやメールでもそういったものを受け取ることがありました。“首をはねてやりたい”“死ね”……。家族や友人に向けてのものもありました。昨年12月までは、私が受けた性暴力についての裁判があったので、そちらにエネルギーを取られ、今回提訴となった誹謗中傷の方について手が回らない状況でした。都合3年かかってしまい、この間にも(誹謗中傷のメッセージが)蓄積されてしまいました。第三者の方がそれらを見て傷つくということも聞きました」
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