コロナ禍のキャンパスに降臨した「オンライン新歓」明暗を分けたものとは
櫛の歯が欠けたように…
コロナ禍で多くの大学は構内を閉鎖。それに伴って、課外活動も大学から自粛するように通達がなされた。したがって春の恒例行事、新入生確保のための「サークルの新歓コンパ」もストップを余儀なくされた。しかし、サークルにとってそれは生命線。そこで登場したのが「オンライン新歓」だった。
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言うまでもなく、新歓といえば居酒屋などで大人数がガヤガヤと交流するものだ。一方、「オンライン新歓」はビデオ通話サービスのZOOMを使用した新歓活動や、サークル合同説明会のネット配信など。何としてでも新入生を確保しようと、どのサークルも試行錯誤していた。
大学生である筆者も、所属するサークルでオンライン新歓を体験した。しかし、その実情はお世辞にも「時代に即した有効な手段」と言えるようなものではなかった。結論から言えば、オンラインの形態はサークルの新歓にはまるで合わないのだ。
まず、ZOOMなどのビデオ通話サービス上では、1人ずつしか喋ることが出来ない。1人がサークルをひたすら紹介し続けることによって、「新歓」というより「説明会」のような退屈な雰囲気になってしまう。
筆者の体験したオンライン新歓でも、話すのはサークルの事に詳しい最上級生ばかり。10人ほどの顔が同時に映り、喋っている人以外は気まずそうに黙る。しかも、気がつけば黙っていた上級生が1人ずつ抜けていき、いつしか半分近くにまで減っていた。櫛の歯が欠けたように……。
相手は大学にまだ一度も登校していない新入生だ。共通の話題もそうそうない。いつ終わらせるかも決めずに進んだ「説明会」は気まずい空気の中、新入生の「そろそろ所用があるので抜けます」の一言で幕を閉じた。
新入生もまた、初対面の上級生相手に積極的に話しかけるのは難しいはずだ。そもそも、例年の新歓のように食事代わりにふらっと寄れるものでもない。新歓に参加するまでのハードルも高く、オンラインでは初対面の相手と打ち解けにくいだろう。
飲食店などで開催される通常の新歓は、卓がわかれており移動は自由で色々な人と話すことが出来る。「席を移動して話の合う先輩を見つける」「新入生同士で友だちを作る」なども新歓の醍醐味。しかし、オンライン新歓ではその美点がことごとく損なわれているようだった。
学園祭実行委員のような内容が明確なサークルは、説明会で十分だろう。しかし、多くの団体がサークルの雰囲気を伝えることが出来ずに頭を悩ませている。知人のサークル代表は「新入生にサークルの魅力をどう伝えればいいか分からない」と気を落としていた。
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