コロナ第2波から命を守る「抗体」事情 未感染者も持つ“交差免疫”とは
解明される本当の致死力 ハーバード大が証明 サル実験で「抗体ができると二度と感染しない」 だから子どもは大丈夫!? 未感染者にも抗体の「交差免疫」とは何か
「孫子の兵法」にはこんな言葉もある。曰く、〈敵を知り己を知れば百戦殆(あやう)からず〉。現時点で、我々はコロナの正体を熟知しているとは言い難い。同時に、自分たちの身体についても理解が薄い。であれば、まずは“己を知る”ことが肝要であろう。
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“解除”の2文字が世間を賑わせる一方、コロナの治療薬やワクチンは未だ開発には至っていない。しかも、年内に“第2波”が襲来するのは必定。今後も暗中模索の日々は続くだろう。だが、闇の奥に光明が見出せていないわけではない。
ハーバード大学の研究チームは5月20日に発表した研究結果で、ある疑問に答えを示した。それは〈コロナに感染すると免疫を獲得できるのか?〉についてである。
研究チームが9匹のサルをコロナに感染させたところ、人間と同様に肺炎を発症。それから5週間後、回復したサルに再びコロナを感染させようと試み、鼻や気管に大量のウイルスを注入したが、再感染させられなかったという。サルの体内でコロナに対する防御抗体が生成されたのである。
充分に抗体ができれば二度とコロナに感染しない――。同様の結果がヒトでも確認されたら、抗体は盾として大きな“武器”となる。それがすでに備わっていれば比較的安心できよう。反対に、なければ第2波への警戒を怠らないよう気構えができる。
浜松医療センター院長補佐の矢野邦夫氏も、
「新型コロナウイルスに感染すると、おそらく2~3年は再感染しないと考えられます。その期間を超えると免疫が落ちてきますが、たとえ感染しても軽い症状で済むはずです」
この研究結果が世に出たのと同日、米・ニューヨーク州のクオモ知事は、低所得者地域で実施した、8千人に対する抗体検査の結果を発表している。
市北部ブロンクスの陽性率は43%で、ヒスパニック系に限ると56%! 南部ブルックリンでも41%に達し、黒人住民の8割が陽性という地域もあったという。
東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科の寺嶋毅教授によれば、
「抗体保有者が40%超というのは予想以上に高い数字ですが、有り得ない数字ではありません。貧困層ほど医療機関にアクセスするためのハードルが高い、アメリカの事情も原因と考えられます。厚労省が5月に発表した抗体検査の陽性率は東京都の500検体で0・6%。諸外国と比べても、抗体保有率はかなり低い水準です。新型コロナウイルスの実態と感染状況を知り、正しい死亡率や感染力を把握するには、無作為に選んだ数万人規模の検査が必要になるでしょう」
抗体検査は“第2波”対策はもちろん、社会経済活動を再開させるための指針にもなる。同時に、コロナの“致死力”を知るための手段でもあるのだ。
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