「愛の不時着」フィーバーで「北朝鮮に行きたい」女子が急増? 専門家は警鐘

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 巣ごもり生活を余儀なくされ、退屈しのぎに映画やテレビドラマへと手が伸びるのは自然のなりゆきだ。そんな中、人気を博しているネット配信の韓国ドラマ。視聴したことで“あらぬ願望”を抱いてしまう女性が急増しているのだとか。

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 それは、米大手映像配信会社「ネットフリックス」が提供している「愛の不時着」である。主人公の女性は韓国の財閥令嬢で、パラグライダーで飛行中、アクシデントで北朝鮮に不時着してしまう。ここで北朝鮮兵士である精悍な中隊長と出会い、彼の計らいで農村に匿われ、秘密警察の目を逃れながらも二人は恋に落ちていくという、何とも奇想天外な筋書きである。

「中隊長役はヒョンビン、令嬢にもソン・イェジンという韓国を代表する役者を配し、現地では昨年12月からケーブルテレビで放映されました。2月の最終話は24%超の視聴率を記録し、2月23日からはネットフリックスで全16話の配信が開始、日本国内の視聴数ランキングでもトップ10内をキープし続けています」(在韓ジャーナリスト)

 ドラマでは実際の脱北者の証言を取り入れており、貧困や停電、盗聴といったリアルな局面が描かれる一方、農村での暮らしは人情味あふれる描写も目立つ。それもあって、

「現在でも韓国では北朝鮮を讃える行為は禁じられており、1月には“国民が扇動された”と、保守系政党が国家保安法違反容疑で告発する騒ぎもありました」(同)

 というから、ラブコメもひと苦労なのだ。

「極悪非道」呼ばわり

 翻って日本国内では、

「ツイッターでは、おもに女性の視聴者が『北朝鮮に親近感がわいた』『北朝鮮に行ってみたい』といった感想を多く綴っています。どうも農村でのヒロインの生活を、美化されたものでなく本物だと思い込んでいるようで……」(芸能記者)

 実際に「愛の不時着」「北朝鮮」をともに含むツイートは、5月19日だけで約100件。“地上の楽園”の対極にあることはとうに証明されているのだが、好意的なつぶやきも目立つのだ。

「コリア・レポート」の辺真一編集長は、

「日本からしたら北朝鮮は確かに神秘的で、好奇心を抱くのも分からなくはありませんが、下手をすると行ったら帰ってこられません。観光旅行でスパイ容疑をかけられて拘束される人が後を絶たないのだから、どうしてもというのなら覚悟して行くことですね」

 そう呆れ、デイリーNKジャパンの高英起編集長も、

「さすがに韓国では『愛の不時着』を観て北朝鮮に行きたいなんて言い出す人は皆無です。日本でそう思う人は『アナ雪』を観てアナになりたいと思うのと一緒で、夢を見るのは自由だから楽しんでください、としか言いようがありません」

 ちなみにこうした“ブーム”に当の北朝鮮は、対韓国宣伝用ウェブサイトで、

〈虚偽と捏造に満ちた不純極まりない反共和国映画〉

 だとして、

〈許せない極悪非道な挑発行為〉

 と断じている。憧れも、ほどほどにしておこう。

週刊新潮 2020年6月4日号掲載

ワイド特集「新しい日常」より

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